本日の注目ポイント
- BTCは107,000ドル台で反落、長い上ヒゲ陰線を形成し上値の重さが意識される
- 資金調達率はプラス圏維持も縮小、ロング優勢が一服
- ロング/ショート清算はともに急減、短期巻き戻しが一巡した可能性
- 建玉は小幅減少しポジション整理の動き、方向感模索の展開に
- 米金利・ドル指数ともに下落、VIXは低水準でリスク選好ムード継続
⑥ 昨日の経済イベントと市場反応
6月30日(月)に発表されたシカゴ購買部協会景気指数(PMI)は、予想42.5に対し結果は40.4と下振れし、前回40.5からも小幅に悪化しました。中西部の景況感の回復が見られなかったことで、米景気の弱さが改めて意識される形に。ドルはやや軟調に推移し、ビットコインには支援材料となった可能性があります。
① 価格とテクニカル動向
ビットコインは前日比-1.16%となる107,137ドルで取引を終了。108,000ドル台からの反落となり、週明けはやや上値の重いスタートとなりました。
テクニカル面では、7日EMA(106,925ドル)と25日SMA(106,054ドル)を上回る位置を維持しており、トレンドとしては引き続き上昇基調にあります。ただし、上昇モメンタムにはやや鈍化の兆しも見られます。
ローソク足の形状は長い上ヒゲを伴う陰線で、108,798ドルの高値からの反落が鮮明。直近高値圏での売り圧力が意識される形です。
今週はISM製造業景況指数やADP雇用統計、NFPなど、米経済の重要指標が相次ぐことから、短期的には調整やボラティリティ上昇の可能性もあり、ポジション管理に注意が必要です。
価格 | 7日EMA | 25日SMA | 日足変化 |
---|---|---|---|
$107,137 | $106,925 | $106,054 | -1.16% |
2. デリバティブ市場の動き
■ Funding Rate(資金調達率)
2025年6月30日時点の資金調達率は +0.0053% と、引き続きプラス圏を維持。前日(6月29日)の +0.0076% からやや低下したものの、依然としてロングポジションへのインセンティブが働く水準にあります。SMA(7日)は +0.00134%、SMA(30日)は +0.00197% と、いずれもプラスを維持しており、短期・中期的な強気基調が根強く続いている状況です。
市場ではロングが優勢な構図が続いており、積極的な買いポジションの構築が観察されます。
■ ロング/ショート清算
- ロング清算額(6月30日):$1.72M
- ショート清算額(6月30日):$4.21M
直近の清算データでは、ショートポジションの巻き戻しが続いており、ロング清算額を大きく上回る構図が続いています。ただし、前日(6月29日)のロング清算額 $4.05M → $1.72M と沈静化しており、ショート側も $36.28M → $4.21M と急減。これは、突発的な値動きによる巻き戻しが一巡し、短期的には一服感が広がっていることを示しています。
■ Open Interest(未決済建玉)
2025年6月30日時点の未決済建玉(Open Interest)は $34.15B。これは前日の $35.28B からやや減少しており、ポジション整理の動きが出始めていることを示唆します。ただし、SMA(7日)$34.35B、SMA(30日)$34.58B を下回るも大きな乖離はなく、ポジションは高水準を維持しています。
価格の持ち直しとともに、建玉の増減が交錯する展開が続いており、次の方向感を模索する段階に差し掛かっている可能性があります。
3. オンチェーン分析
NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年6月30日時点のNRPL(実現損益)は +4.77億ドル($477M)と、前回比で横ばい推移。利確圧力は継続していますが、EMA(7日)は約9.89億ドルと依然として高水準にあり、市場全体としては収益確定の動きが続いていることを示唆しています。価格が安定する中で急激な利確減少がないことは、一定の強気継続を示す材料と見られます。
ネットフロー
2025年6月30日の全取引所合算のネットフローは -12,433 BTC(流出超過)となり、SMA(14日)も-2,950 BTCと大幅なマイナスを維持。直近では目立った流入が見られず、引き続きセルフカストディへの移行や長期保有スタンスが示唆されています。需給面ではビットコイン供給のタイト化が進行中と読み取れるため、強気要素として注目されます。
4. トランザクション動向
2025年6月30日21:00時点、オンチェーンの平均取引額は $98,904、取引件数は 165,552件、取引総額は $16,373,710,042 に達しました。
直近では、平均取引額が大幅上昇しており、大口投資家による活動が一段と活発化している様子がうかがえます。一方、取引件数の水準も高く、個人投資家の参加も一定程度継続していると見られます。
こうした取引の増加と価格の堅調推移が重なっており、市場の流動性は良好です。
項目 | 数値 | 前日比・補足 |
---|---|---|
平均取引額(USD) | $98,904 | 大口投資家の影響が顕著に |
取引件数(件) | 165,552 | 高水準を維持、個人参加も一定 |
取引総額(USD) | $16,373,710,042 | 出来高は増加傾向、活発な市場環境 |
5. マクロと関連市場の動向
6月末の伝統金融市場では、米経済指標の軟化と地政学的リスクを背景に、リスク回避とインフレ観測が交錯する不安定な地合いが続いています。
- 米10年債利回り: 前週比で低下し4.29%付近まで下落。米ISM製造業景況指数などの指標が予想を下回り、利下げ観測が再燃しています。
- ドルインデックス(DXY): 105.8付近で推移し、やや軟調。FRBのハト派姿勢と他通貨の相対的な強さを受けてドル買いが一服。
- 金(XAU/USD): $2,325付近まで反発。中東情勢の不透明感が金の安全資産としての需要を支えました。
- 原油(WTI): $81.7付近で堅調。夏季需要の強まりと中東情勢のリスクが価格を支えています。
- VIX指数: 12.3と低水準にとどまり、市場はリスクオンの姿勢を継続。ただし、地政学リスクには注意が必要。
米株市場も底堅さを維持しており、ナスダック(NDX)やS&P500(SPX)は高値圏で推移。特にハイテク株を中心に買いが継続し、年後半の成長期待が価格に織り込まれています。
指標・市場 | 終値(6/30) | 動向・コメント |
---|---|---|
米10年債利回り(US10Y) | 4.29% | 利下げ観測で低下 |
ドルインデックス(DXY) | 105.8 | ドル安基調、金利低下を反映 |
金(XAU/USD) | $2,325 | 地政学リスクで上昇 |
原油(WTI) | $81.7 | 供給懸念と需要増で堅調 |
VIX(恐怖指数) | 12.3 | リスクオンだが楽観過多に警戒 |
S&P500(SPX) | 5,472 | 過去最高値圏で推移 |
ナスダック100(NDX) | 19,701 | ハイテク株中心に上昇継続 |
ドル円(USD/JPY) | 161.20 | 日米金利差でドル高継続 |
ビットコインドミナンス(BTC.D) | 54.2% | アルト不調でBTC優位の相場 |
本日のまとめと展望
ビットコインは週末の堅調な流れを引き継ぎつつも、6月末の利確やイベント警戒感から反落し、107,137ドルで取引を終えました。日足では108,798ドルの高値から下落し、長い上ヒゲを伴う陰線を形成。直近高値での売り圧力が意識される形となりました。
テクニカル面では、依然として7日EMA・25日SMAの上に位置しており、トレンドとしての上昇基調は継続していますが、モメンタムには鈍化の兆しが見られます。米ISMや雇用統計を控える今週は、イベント前の調整が入りやすく、神経質な展開が予想されます。
デリバティブ市場では、資金調達率がプラス圏を維持しつつも縮小し、過熱感はやや後退。ロング・ショート清算はともに急減し、短期巻き戻しの一巡が示唆されます。建玉も微減しており、市場はポジション整理を進めつつ、次の方向感を模索する様子です。
オンチェーンデータでは、NRPLは高水準を維持するも横ばい、ネットフローは引き続き流出超過が続いており、需給環境はタイトな状況。個人投資家よりも大口主導の地合いが継続しています。
マクロ環境はリスクオン継続。米金利・ドルともに下落し、VIXは12台と低水準で推移。米株も堅調で、特にハイテク中心のナスダックが強さを見せています。こうした外部環境が仮想通貨市場にも支援材料となる一方で、今夜のISM製造業指数をはじめとした指標発表には要警戒です。
相場雑感
上昇基調を維持しつつも、材料出尽くし感やイベント前の利確圧力から一服感が漂う相場展開。直近では、清算額や建玉に沈静化の動きが見られ、短期トレンドにおけるエネルギー蓄積のフェーズに入っている印象です。
長期保有層による供給のタイトさや、米株・VIXの動きが仮想通貨市場にとっては支援材料となっており、急落というよりはボラティリティを伴う調整の範囲と見られます。とはいえ、イベント通過までは慎重姿勢が続きやすく、トレンド継続には明確なトリガーが必要です。
今夜発表のISM製造業指数が市場の注目を集めており、結果次第では米金利とドルがさらに変動し、BTCにも波及する可能性があります。方向感を探る中、引き続きデータと地合いの変化を注視する局面です。
⑦ 今日の注目イベント(07/01 火)
時刻(JST) | イベント | 注目理由 | 市場の見方 |
---|---|---|---|
23:00 | ISM製造業景気指数 | 製造業セクターの活動水準を測る重要指標。景気後退の有無を判断する上で注目 | 予想48.8(前回48.5)。50割れが続けば景気減速感が意識される。下振れならBTCに追い風の可能性 |
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