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【日次レポート(7/4)】BTCは反落も需給タイト継続、ISM後の地合いに注視

本日の注目ポイント

  • BTCは105,000ドル台に反落し、25日SMA割れ・7日EMA下抜けでテクニカルに警戒感
  • 資金調達率はプラス幅が縮小しつつもロング優勢を維持、過熱感は後退
  • ロング清算が増加する一方でショート清算は低水準、下落局面でロング巻き戻し
  • 建玉は高水準維持も微減、方向感を模索する様子
  • 米10年債利回りとドル指数が低下、VIXは引き続き低水準でリスク選好は継続

⑥ 昨日の経済イベントと市場反応

7月3日(木)に発表されたISM製造業景気指数は、予想50.8に対し50.8と一致。節目の「50」を上回っており、米製造業が緩やかな拡大を維持していることを示しました。サプライズはなかったものの、リセッション懸念を和らげる材料として市場は好感しました。

一方、同日に発表された非農業部門雇用者数(NFP)は、予想114.0万人に対して147.0万人と大きく上振れ。労働市場の底堅さが改めて示され、金利据え置き長期化の思惑が台頭しました。

失業率は4.10%(予想4.30%)とやや改善、平均時給も前年比で3.70%と予想を下回り、インフレ鈍化の兆しも見られました。全体としては「強い雇用」と「やや鈍化する賃金」の組み合わせとなり、市場は強弱入り混じる解釈となっています。

① 価格とテクニカル動向

ビットコインは前日比+0.77%となる109,694ドルで取引を終了。前日の反発を引き継ぐ形で堅調に推移し、110,000ドル台を一時回復する場面も見られました。

テクニカル面では、7日EMA(107,813ドル)および25日SMA(106,395ドル)をともに上回る位置で推移しており、上昇トレンドの継続が意識されます。両移動平均線とも上向きを維持しており、センチメントは引き続き強気です。

ローソク足は実体の長い陽線を形成し、高値110,548ドル・安値108,586ドルの比較的狭いレンジ内での推移となりました。ボラティリティは前日より落ち着いていますが、依然として上下いずれにも振れやすい地合いです。

本日7月4日は米国の独立記念日にあたり、米市場は休場となります。主要な経済指標の発表も予定されておらず、マーケットは流動性が低下し、値動きが限定される可能性があります。

終値 7日EMA 25日SMA 日足変化
$109,694 $107,813 $106,395 +0.77%

② デリバティブ市場の動き

■ Funding Rate(資金調達率)

2025年7月3日時点の資金調達率は +0.0094% と、前日比でやや上昇。
7日SMAは +0.0033%、30日SMAは +0.0022% を維持しており、ロング優勢の構図が継続しています。

価格が上昇基調にある中でプラス圏を維持していることから、ポジティブなセンチメントが市場全体に広がっていることが示唆されます。

■ ロング/ショート清算
  • ロング清算額(7月2日):約 $9.3M
  • ショート清算額(7月2日):約 $104.6M

7月2日は価格の急反発によりショート清算が急増。前日のロング清算から一転し、売り方のストップが大量に巻き取られました。

この動きは、短期的な上昇トレンドの強さを示しており、ショートポジションの巻き戻しによるさらなる価格上昇が意識される局面です。


■ Open Interest(未決済建玉)

2025年7月3日時点のOpen Interestは $38.05B と、前日比で明確な増加。
SMA(7日):$35.12B、SMA(30日):$34.65B を大きく上回っており、新たなポジション構築の動きが強まっています。

価格の上昇に伴い建玉が急増しており、市場ではロング勢の勢いが再び強まっている可能性があります。今後は過熱感や巻き戻しへの警戒も必要です。

③ オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月2日時点のNRPL(実現損益)は +963.8Mドル
前日(7月1日)は +699Mドル であったことから、利確行動は継続しています。
7日EMA(+1.13Bドル)には届かないものの、プラス圏の維持が続いており、上昇局面での利益確定圧力が意識される展開です。

ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月3日の全取引所合算ネットフローは -779 BTC と流出超過。
14日SMA(-2,963 BTC)も引き続きマイナス圏であり、保有意欲の強さがうかがえます。

流出傾向が続いていることは中長期保有(HODL)目的の動きを示唆しており、現物市場の需給環境を支える構図が継続しているとみられます。

④ トランザクション動向

2025年7月3日21:00時点のオンチェーンデータでは、

  • 平均取引額:$63,295
  • 取引件数:193,047件
  • 取引総額:$12.22B

平均取引額は前日比で増加しており、大口取引の活発化を示唆。取引件数も高水準を維持しており、個人・機関投資家双方のアクティビティが強い状態が続いています。総取引額も引き続き10Bドルを超えており、流動性の厚さが保たれています。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $63,295 大口取引の活発化
取引件数(件) 193,047 高水準で安定
取引総額(USD) $12,218,839,081 高水準の流動性



⑤ マクロと関連市場の動向

7月第1週の伝統金融市場では、FOMC議事要旨の発表を控えて様子見ムードが広がる一方、米利回りの反発やドル安継続が意識される展開に。インフレ鎮静化期待は維持されつつも、コモディティ価格の変動や地政学リスクが織り込まれ、リスク選好の動きが継続しています。

  • 米10年債利回り: 前日比+1.52%の4.35%へと急反発。14EMA(4.32%)を一時上抜け。
  • ドルインデックス(DXY): 終値は97.13。反発の兆しも21EMA(97.97)・50SMA(99.12)には届かず。
  • 金(XAU/USD): $3,331で横ばい。依然として50SMA(3,321)上での安定推移。
  • 原油(WTI): $67.11で横ばい推移。25SMA(67.23)・100SMA(65.38)と拮抗状態。
  • VIX指数: 16.37と低水準継続。リスクオン継続も急変動には警戒必要。

株式市場は堅調を維持しており、S&P500やNASDAQ100は最高値圏を更新。生成AIを軸としたテック株の上昇が続いています。また、ドル円は一服感が出始め、144円台半ばでのレンジ推移。ビットコインドミナンスも65%台で推移し、依然として資金はBTCに集中する構図です。

指標・市場 終値(7/3時点) 動向・コメント
米10年債利回り(US10Y) 4.35% 14EMA上抜け、短期反発
ドルインデックス(DXY) 97.13 反発も下落トレンド内
金(XAU/USD) $3,331 50SMA上、堅調に推移
原油(WTI) $67.11 方向感乏しく横ばい
VIX(恐怖指数) 16.37 低ボラ継続も過度な楽観は警戒
S&P500(SPX) 6,279 上昇トレンド継続中
ナスダック100(NDX) 22,867 AI関連銘柄が主導
ドル円(USD/JPY) 144.87 一時調整も底堅く推移
ビットコインドミナンス(BTC.D) 65.29% アルト売り・BTC優位継続





本日のまとめと展望

ビットコインは前日比-1.54%の105,523ドルで引け、7日EMA(106,581ドル)と25日SMA(106,102ドル)を下回る形で反落。長い上ヒゲの陰線を形成し、短期的な上昇モメンタムの鈍化が示されています。

デリバティブ市場では、資金調達率がプラス圏を維持しつつも縮小傾向にあり、ロング清算の急増が巻き戻しの進行を示唆。ショート清算は限定的で、ロング偏重の調整が色濃く表れています。

建玉は微減ながら高水準を維持しており、方向感を探るポジション構築が続く様子。急激なリスクオフではなく、静かな調整フェーズと見ることもできます。

オンチェーンでは、NRPLが高水準を維持し、含み益ホルダーの利確が一定継続。ネットフローは流出超過が続き、取引所外への資金移動が優勢。トランザクションもやや落ち着きを見せ、フローの勢いは限定的です。

マクロでは米金利とドル指数がともに軟化。VIXは13付近で安定し、米株も堅調推移。外部環境はリスク選好ムードを維持しており、仮想通貨市場の下支えとなる一方で、今夜のISM製造業指数など重要指標の影響には要注意です。

相場雑感

今回の反落はイベント前の調整とも捉えられ、テクニカル的には上昇一服の警戒感が出ています。EMA・SMAを下回ったことで、より慎重な見方が増える可能性もあります。

ロング清算の急増と建玉の高水準維持からは、短期勢の整理とエネルギー蓄積の両面が見られます。ネットフローやNRPLは、大口の長期保有継続を示唆しており、急落よりも持ち合い・調整のフェーズと捉えるのが妥当です。

今夜のISM製造業指数次第では、金利やドルが変動し、BTC価格にも波及の可能性あり。方向感に乏しい相場では、データを冷静に見極めた柔軟な対応が求められます

⑦ 今日の注目イベント(07/04 金)

時刻(JST) イベント 注目理由 市場の見方
終日 米国市場休場(独立記念日) 独立記念日のため、株式・債券・為替市場が休場 流動性が大きく低下し、突発的な値動きが出やすい1日

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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