レポート

【日次レポート(7/8)】BTCは陰線で調整もトレンド維持、NRPLは高水準を維持

本日の注目ポイント

  • BTCは-0.94%安で108,202ドル、実体のある陰線を形成しつつもサポート上を維持
  • 7日EMAをわずかに下回るが、25日SMAは依然上回り、トレンド崩れは見られず
  • デリバティブ市場ではロング清算増加も、OIは高水準でポジション構築は継続
  • オンチェーンではNRPL+1.5Bドル超で利確優勢、ネットフローは流入超に反転
  • マクロは金利・ドル高基調にシフト気配、今週後半の指標発表が相場の鍵に

昨日の経済イベントと市場反応

7月8日(月)は、経済指標の発表がなく、米市場では様子見ムードが支配的でした。
材料難のなか、株式・暗号資産ともに調整色がやや強まる展開となり、利益確定やポジション整理が中心の相場でした。
ビットコインも方向感を欠いた動きとなり、テクニカルな節目付近での推移が継続しています。

価格とテクニカル動向

ビットコインは前日比 -0.94%108,202ドルで引け、前日の陰線に続き再び調整色を強めました。

テクニカルでは、7日EMA(108,251ドル)をわずかに下回り、25日SMA(106,339ドル)は依然上回る水準を維持。短期的な弱含みを示しつつも、トレンドの中長期的な崩れは確認されていません。

ローソク足は実体のある陰線を形成し、高値109,704ドル・安値107,534ドルと、やや広いレンジでの上下を見せた一日でした。
終値がEMAを割り込んだことで、108,200〜108,300ドル付近でのサポート力が注目される局面です。

今後は、25日SMA(106,339ドル)に向けた下値模索が続くか、再び7EMAを回復して上昇基調に戻るかが注視されます。

終値 7日EMA 25日SMA 日足変化
$108,202 $108,251 $106,339 -0.94%

デリバティブ市場の需給動向

① 資金調達率(Funding Rate)


資金調達率は +0.0022% と依然プラス圏で推移し、ロングポジション優勢の地合いが継続中。
ただし、7日SMA(+0.0034%)や30日SMA(+0.0025%)と比較すると若干低下しており、強気姿勢にやや慎重さが見え始めた印象です。

② ロング清算額


ロング清算額は 約3.67百万ドル と依然として小規模に留まり、ポジション調整の範囲内に収まっています。
過度なロングの積み上がりが見られず、目先の急落リスクは限定的と言えそうです。

③ ショート清算額


ショート清算額は 約3,331万ドル に拡大し、上昇局面での踏み上げが継続しています。
ロング優勢な構図は続いており、下値では押し目買いが入りやすい環境が形成されています。

④ オープンインタレスト(建玉残高)


オープンインタレストは 358.9億ドル と引き続き高水準を維持。
7日SMA(362.3億ドル)をやや下回るも、30日SMA(348.1億ドル)を上回っており、中期的なリスク選好の継続が読み取れます。
トレンド待ちのポジション構築フェーズが継続中といった印象です。

オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月6日時点のNRPL(実現損益)は +319Mドル
7日EMA(+1.91Bドル)を大きく下回っており、利確圧力は大きく後退
急騰後の利確一巡を示唆しており、押し目形成や下値固めの可能性も視野に入ります。

ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月7日のネットフローは -10,301 BTCと大幅な流出超。
これは前日の+1,983BTCの流入超からの急反転となり、取引所からの資金移動=売り圧力の後退を示します。
14日SMA(-3,899 BTC)も引き続きマイナス圏で、中長期的には強気の流出傾向が維持されています。

トランザクション動向

2025年7月7日21:00時点のオンチェーンデータでは、

  • 平均取引額:$60,920
  • 取引件数:235,095件
  • 取引総額:$14.32B

前日比で取引件数と平均額ともに増加しており、市場参加者の活発な動きと大口フローの増加が読み取れます。
特に平均取引額は前日の$83,082から減少しているものの、依然として高水準にあり、厚い流動性と安定した需要が確認できます。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $60,920 やや減少も高水準
取引件数(件) 235,095 増加傾向
取引総額(USD) $14,321,984,654 堅調な流動性



マクロと関連市場の動向

7月第1週は、米雇用統計の影響が続き、「ドル安一服・株高継続・ボラティリティ低下」が混在する相場となりました。
投資家の関心はインフレ指標へと移行しつつあり、金融政策の次の一手を見極める段階にあります。

米10年債利回りは4.38%と反発し、14EMAを上回りました。
ドルインデックスは97.5で下げ止まり、短期的な下落トレンドに歯止めがかかっています。

金価格は3,336ドルと小幅上昇し、50SMA付近での持ち合いが続いています。
原油は67.77ドルで横ばい推移、25SMAと100SMAの狭間で方向感に欠ける展開です。

一方、S&P500とNASDAQ100は直近で調整が入りつつも、高値圏を維持。AI関連銘柄への期待から底堅さが意識されています。
VIXは17.80と上昇しましたが、依然として低水準にとどまり、市場全体のリスク許容度は高めです。

為替市場ではドル円が145.99円と、7EMA・25SMAに挟まれたレンジ内で膠着。
ビットコインドミナンスは65.28%で横ばいを継続し、BTCへの資金集中構造に変化は見られません。

全体として、利下げ期待の継続と経済指標の影響を受けた神経質な展開が続いており、今週のCPIやPPIの結果次第で市場の方向感が変化する可能性があります。

指標・市場 終値(7/8時点) 動向・コメント
米10年債利回り(US10Y) 4.38% 14EMAを上抜け反発
ドルインデックス(DXY) 97.52 短期反発、下げ止まりの兆し
金(XAU/USD) $3,336 50SMA付近で横ばい
原油(WTI) $67.77 SMA間でレンジ推移
VIX(恐怖指数) 17.80 上昇も依然低位
S&P500(SPX) 6,229.98 調整も高値圏維持
NASDAQ100(NDX) 22,685.57 最高値圏、強気継続
ドル円(USD/JPY) 145.99 短期MAに挟まれ方向感欠く
ビットコインドミナンス(BTC.D) 65.28% SMA上で横ばい継続




本日のまとめと展望

ビットコインは前日比でやや下落しつつも、依然として7日EMA・25日SMAの上を維持。テクニカル的には上昇トレンド内での揉み合いと捉えられます。

デリバティブ市場ではロングの清算がやや増加したものの、OIは安定しており、大規模なポジション解消は確認されていません。
資金調達率(Funding Rate)もプラス圏を維持しており、ロングバイアスの残存を示しています。

オンチェーンではNRPLが引き続き+1.5Bドル超の黒字となっており、利確優勢の流れが続いています。取引所へのネットフローも流入超へと転換しており、短期的な調整の可能性には引き続き警戒が必要です。

マクロ環境では、米10年債利回りが4.35%台へ上昇し、ドルインデックス(DXY)も反発基調となっており、やや金利・ドル高方向への転換兆候も見られます。
株式市場は一服感が見られつつも高値圏を維持しており、BTCとの相関は引き続き注視される場面です。

今後の注目点は、108,200ドル〜109,500ドルのレンジブレイク。特に米失業保険申請件数(7/10発表)以降のボラティリティ拡大が、相場に次の動きをもたらす可能性があります。

相場雑感

値動きが限定的な中でも、オンチェーンでは利確圧力が積み上がっており、売り優勢への転換リスクもじわりと感じさせる局面でした。
一方で、マクロ環境が大きく崩れていないことから、押し目待ちの投資家も多い印象です。
市場全体としては、「短期的な調整 or 中期的な押し目」かの分岐点にあり、今週後半のイベントに向けた静かな助走といえそうです。

今日の注目イベント(07/08 火)

時刻(JST) イベント 注目理由 市場の見方
主要経済指標なし 米市場は休場明け、明日以降の在庫統計や雇用指標に関心が移行 材料難の中、テクニカル・需給主導の展開が続く見通し

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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