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【日次レポート(7/10)】BTCは111,000ドル台を維持、ショート清算で上昇圧力

本日の注目ポイント

  • BTCは+0.07%で111,335ドル、テクニカルでは上昇トレンド維持
  • ショート清算額が急増し、ショートカバーが価格上昇の一因に
  • Funding Rateは+0.0077%、ロング優勢も極端な偏りなし
  • NRPLは高水準を維持するも7日EMAを下回り、利確圧力は沈静化傾向
  • エネルギー在庫の大幅減少、インフレ・コモディティ市場の先行指標として注目

昨日の経済イベントと市場反応

7月9日(水)はエネルギー関連の在庫統計が複数発表されましたが、市場全体の反応は限定的にとどまりました。
ビットコインは引き続き高値圏での持ち合いが続き、出来高の低下とともに狭いレンジ内での推移となっています。
一方、原油・ガソリン・留出油在庫はいずれも大幅な減少となり、今後のインフレ見通しやコモディティ市場に影響を及ぼす可能性があり注視が必要です。

価格とテクニカル動向

ビットコインは前日比 +0.07%111,335ドルで引け、わずかに続伸となりました。

テクニカル面では、7日EMA(109,689ドル)と25日SMA(106,914ドル)を上回る水準を維持しており、中期的な上昇トレンドが継続しています。
短期的には高値圏での持ち合いが続いており、出来高の減少とともに方向感に乏しい状況です。

ローソク足は小幅な陽線を形成し、高値111,336ドル・安値111,255ドルと、値幅の狭いレンジ内での推移にとどまりました。
今後は、112,000ドル台のブレイク出来高の回復が次の上昇局面への鍵となりそうです。

終値 7日EMA 25日SMA 日足変化
$111,335 $109,689 $106,914 +0.07%

デリバティブ市場の需給動向

① 資金調達率(Funding Rate)

資金調達率は +0.0077% と引き続きプラス圏で推移しており、7日SMA(+0.0054%)および30日SMA(+0.0028%)を上回る水準を維持しています。
ロング優勢が続く中でも、極端な偏りや過熱感は見られず、比較的バランスの取れたポジション構成とみられます。

② ロング清算額

ロング清算額は 約860.8万ドルとなり、前日比でやや増加しました。
清算規模としては依然として低水準であり、相場下落というよりは利益確定や軽い押し目での調整と考えられます。

③ ショート清算額

ショート清算額は 約3億2,673万ドルと急増し、2025年5月以来の高水準に。
ビットコイン価格の上昇により、ショートカバーが発生し相場を押し上げた可能性が高い状況です。

④ オープンインタレスト(建玉残高)

オープンインタレストは 約386.6億ドルに達し、年初来高値水準で推移。
7日SMA(約367.5億ドル)30日SMA(約348.3億ドル)の両方を上回っており、新規建玉の増加傾向が継続しています。
ボラティリティ拡大の予兆ともいえ、今後の値動きには注意が必要な局面です。

オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月8日時点のNRPL(実現損益)は $1.64B
7日EMA($1.79B)をやや下回っており、利益確定の動きは高水準ながらピークアウトの兆しを見せています。
相場上昇に伴う売り圧力は残るものの、一時的な調整局面への移行も視野に入り始めています

ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月8日のネットフローは -260 BTCとなり、ごく軽微な流出超が記録されました。
14日SMA(-3,861 BTC)と比較しても、短期的な売り圧力は落ち着いている印象です。
全体としては引き続き強気姿勢(取引所からの資金退避)が続いており、投資家の保有意欲の高さがうかがえます。

トランザクション動向

2025年7月9日21:00時点のオンチェーンデータでは、

  • 平均取引額:$53,380
  • 取引件数:216,747
  • 取引総額:$11,570,051,054

前日比で平均取引額・取引総額ともに上昇し、オンチェーン活動は活発化しています。
取引件数も20万件超と水準を回復しており、市場全体における実需の厚さと流動性の改善がうかがえます。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $53,380 上昇・高水準
取引件数(件) 216,747 増加傾向
取引総額(USD) $11,570,051,054 2日連続で2桁Bを維持



マクロと関連市場の動向

7月第2週は米雇用統計通過後、全体として材料難による膠着感が漂いました。インフレ懸念はやや後退し、金利や為替、株式・コモディティ市場では主要移動平均線が意識される展開が続いています。

マクロ環境としては、リスク資産への資金流入が継続する一方、指数やコモディティ価格は明確なブレイクアウトに至らず方向感に乏しい調整相場の様相です。来週のCPI・PPI発表を前に、投資家心理はやや慎重に傾いています。

このため今週は、短期テクニカルレベルの攻防夏枯れに向けたポジション整理が中心となる見通しです。

指標・市場 終値(7/10時点) 動向・コメント
米10年債利回り(US10Y) 4.336% 14EMA(4.338%)と拮抗、短期的に反落の兆し
ドルインデックス(DXY) 97.345 21EMA(97.744)・50SMA(98.907)下、戻り売り優勢
金(XAU/USD) $3,319.03 50SMA($3,323)付近で攻防、持ち合い継続
原油(WTI) $68.19 25SMA($68.01)・100SMA($65.24)上抜け、トレンド転換示唆
VIX(恐怖指数) 15.95 5%超の下落でリスクオン継続、低水準横ばい
ドル円(USD/JPY) 146.005 25SMA(144.935)・7EMA(145.631)上抜け、円安トレンド再開
S&P500(SPX) 6,263.26 7EMA(6,221.01)・50SMA(5,934.21)上、上昇トレンド継続
NASDAQ100(NDX) 22,864.91 7EMA(22,671.13)上、過熱感も意識される局面
BTCドミナンス(BTC.D) 64.73% 25SMA(65.28%)下抜け、ETH等への資金流入の兆し



本日のまとめと展望

ビットコインは前日比+0.07%の111,335ドルで引け、引き続き7日EMA・25日SMAの上を維持。短期的な値動きは高値111,336ドル・安値111,255ドルの狭いレンジ内で、持ち合い傾向が続いています。

デリバティブ市場では、ショート清算額が約3.2億ドルに急増し、ショートカバーによる上昇圧力が明確に。Funding Rate(+0.0077%)もロング優勢を保ちつつ、過熱感はなく、バランスの取れた需給構成となっています。

オンチェーンでは、NRPLが$1.64Bと高水準ながらも7日EMA($1.79B)を下回り、利確圧力のピークアウトを示唆。ネットフローは-260 BTCと軽微な流出で、投資家の保有意欲が依然強いことがうかがえます。

マクロでは原油・ガソリン・留出油在庫の大幅減少が見られ、エネルギー価格のトレンド転換の兆しも。一方で、株式・債券市場では方向感の乏しい動きが続いており、調整色の強い相場地合いとなっています。

今後は112,000ドル台の上抜けと出来高回復が次の展開の焦点。今夜の米・新規失業保険申請件数など、イベントの影響も視野に入れた構えが求められます。

相場雑感

値動き自体は小さいものの、需給・テクニカル・オンチェーンの全体構図に崩れはなく調整を挟みつつも上方向への意識が残る状況。
OI(建玉)増加+ショート清算急増という点から、短期的な上昇余地は残されており、今後のブレイク狙いも意識されそうです。
夏枯れ相場入りの兆しもある中で、今週の経済指標と出来高動向が鍵となります。

今日の注目イベント(07/10 木)

時刻(JST) イベント 注目理由 市場の見方
21:30 新規失業保険申請件数(米国) 雇用の先行指標で、景気後退懸念の強弱を左右 前週比で増加すればリスクオフ、減少なら安心感に

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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