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【週次レポート】PCE上振れも景気懸念、利確と需給が綱引きするBTC市場(6/23〜29)

アイキャッチ

今週のポイント

  • BTC価格は高値圏での横ばいが継続し、終値は107,531ドル(前週比+0.18%)。テクニカル的にはEMA・SMA上を維持し堅調。
  • PCEや耐久財受注は上振れたが、GDPはマイナスに下方修正。インフレ継続と成長鈍化が交錯。
  • オンチェーンではSOPRが利確基調を示しつつ、取引所残高の減少とマイナー売却低下で需給はタイト。
  • デリバティブではCMEオプションCall優勢が続き、先物ベーシスもプラス維持。高値圏のもみ合いが継続中。

価格動向(BTC/USD)

項目
始値 $107,342.05
高値 $107,543.16
安値 $107,221.65
終値 $107,531.64
変動率 +0.18%

6月23日週のビットコイン相場は、週初に$107,342.05でスタートし、週内高値は$107,543.16、安値は$107,221.65と、比較的狭いレンジでの推移となりました。最終的には$107,531.64で引け、小幅ながら+0.18%の上昇を記録しています。

テクニカル面では、ローソク足は7日EMA($106,638.50)および25日SMA($105,796.58)のいずれも上で推移しており、短期的な上昇トレンドの継続を示唆しています。移動平均線はゴールデンクロス状態を維持しており、買い優勢の地合いが続いています。

今後は、108,000ドル付近のレジスタンス突破が意識される展開が続くと予想されます。一方で、下値は106,600ドル前後が最初のサポートとなり、それを割り込んだ場合は25日SMAが位置する105,800ドル付近が次の重要なサポート帯として機能する可能性があります。

オンチェーン分析

実現損益(NRPL)
  • 2025年6月28日のNet Realized Profit and Loss(NRPL)は+2.6億ドルで、利確傾向は維持されているものの、過去平均(7日EMA:11.6億ドル)と比較して低下。
  • 価格は$107,351で推移しつつも、利益確定のインパクトは限定的となっており、過熱感は後退しつつある印象。
  • 市場全体としては、利確圧力が徐々に和らぎつつもポジティブな地合いを維持。

短期保有者 SOPR(STH-SOPR)
  • STH-SOPRは1.005とわずかに1を上回り、短期トレーダーによる軽度な利確が続いていることを示唆。
  • EMA(7)=1.005、EMA(30)=1.006と、ほぼ同水準に収束しており、市場に明確な勢いは見られない。
  • 短期的には様子見姿勢が継続しやすく、大きなトレンド転換には至っていない。

長期保有者 SOPR(LTH-SOPR)
  • LTH-SOPRは1.67と高水準を維持しており、長期保有者の利確が継続していることを示している。
  • ただし、EMA(7)=2.12、EMA(30)=2.11と比べると低下しており、ピークアウトの兆しも見られる。
  • 依然として利益確定モードだが、売り圧の強さは徐々に緩和している可能性。

取引所残高・マイナー動向
  • 取引所残高は2,459,811 BTCまで減少し、30日SMA(約2,499,787 BTC)を大きく下回る水準に。引き続き強い資金流出基調が続いており、2021年以降での最低水準を更新中。
  • マイナーから取引所への送金量(Miner to Exchange Flow)は665.98 BTCと、過去30日平均(約4,304 BTC)を大幅に下回っており、マイナー由来の売り圧力は極めて限定的。
  • 全体として、需給面では強気な構造が続いており、潜在的な売り圧力の低下が価格下支えの要因となり得る環境です。


アクティブアドレス

アクティブアドレス数は88.6万件で、7日EMA(88.5万件)および30日EMA(88.9万件)とほぼ同水準に位置しており、短期的にも中期的にも大きなトレンド変化は見られません。全体としては低水準での横ばいが継続しており、ネットワーク活動は引き続き静かな状態が続いています。

デリバティブ市場と取引環境

  • CME先物年率ベーシス(6ヶ月超)は年換算2.44%と、前週比やや低下ながらもプラス圏を維持し、強気姿勢が継続。
  • CMEオプション建玉はCallが約8.32億ドル、Putが約1.78億ドルと、コールオプションが圧倒的に優勢な構造。市場は上昇への期待を強く織り込み中。
  • クジラ比率(Whale Ratio)は0.73と急上昇し、短期的には大口主体の売り圧力警戒感が高まる可能性。ただし30日EMA(0.57)からの乖離も大きく、一過性の変動には注意が必要。



マクロ環境と他資産比較

BTC vs GOLD vs SPX(YTD)
資産 年初来リターン
BTC +27.50%
GOLD +13.18%
SPX +5.53%

2025年の年初来リターンを見ると、ビットコインが+27.50%と他資産を大きく上回っており、依然として最も高いパフォーマンスを記録しています。ゴールド(+13.18%)は堅調に推移しており、安全資産としての需要が反映された形です。S&P500(+5.53%)はやや控えめな上昇にとどまっており、株式市場の上値の重さが意識される展開となっています。

VIX・BTCドミナンス
  • VIX(恐怖指数)は16.33まで低下し、マーケット全体のリスク警戒感は大きく後退。株式市場は安定圏にあると見られます。
  • BTCドミナンスは65.53%まで上昇し、50日・200日SMAを上回る強い上昇トレンドが継続。資金がアルトコインからビットコインへ集中している構図が続いています。


今週の経済イベントと市場反応

日付 指標 結果 予想 市場反応
6/24 コンファレンスボード消費者信頼感指数 93.0 99.7 リスクオフ
6/25 新築住宅販売件数 62.3万件 70.0万件 ドル売り
6/26 実質GDP(確報値) -0.5% -0.2% 景気減速懸念
6/26 耐久財受注(前月比) +16.4% +0.8% 予想外の上振れ
6/27 PCEコアデフレーター(前年比) +2.7% +2.6% ややタカ派材料
6/27 ミシガン大学消費者信頼感指数(確報) 60.7 60.5 市場影響限定的

マーケットの風向き

今週のビットコイン市場は、経済指標の強弱入り混じる中でやや膠着感のある展開となりました。PCEデフレーターや耐久財受注の上振れはインフレ持続を示す一方、GDPは下方修正され景気減速懸念も。こうした中、オンチェーンデータでは利確優勢ながらも取引所残高の減少やマイナー売り控えが需給を下支えしています。デリバティブ市場ではコール建玉の多さが依然として強気を示唆。明確なブレイクには至っていないものの、テクニカル的には上昇トレンドが継続中。来週の雇用統計とISMに注目が集まります。

今後の注目イベント

日付 イベント 注目点
7/1(火) ISM製造業景気指数 景況感の回復具合、50回復ならリスクオン材料
7/2(水) ADP雇用者数 雇用加熱で利下げ観測後退の可能性
7/3(木) 米雇用統計(NFP・失業率) 今後の利下げ観測を左右、マーケットの最大注目指標
7/3(木) 平均時給(前年比・前月比) 賃金インフレが鈍化しているかに注目
7/3(木) ISM非製造業景気指数 サービス業の動向が景気全体の判断材料に

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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