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【日次レポート(7/5)】BTCは陰線で反落もサポート維持、ネットフローは流入に転換

本日の注目ポイント

  • BTCは調整の動きで-1.24%安、ただし7日EMA・25日SMA上を維持
  • ローソク足は長めの陰線、テクニカル的には上値の重さが意識される局面
  • 清算規模が拡大し、ショート巻き戻しも発生するなどボラティリティ上昇
  • オンチェーンではNRPL上昇・ネットフローは久々の流入超に転じる
  • 米国市場は独立記念日で休場、週明けのFOMC議事要旨に向けた様子見も

昨日の経済イベントと市場反応

7月4日(金)は米国の独立記念日にあたり、株式・債券・為替市場は休場となりました。主要経済指標の発表もなく、取引量は全体的に低調となり、仮想通貨市場を含むリスク資産全体において値動きが限定的な1日となりました。

前日(7月3日)に発表された経済指標を受けた市場の余韻が残る中、米雇用統計の強い結果が引き続き意識され、金利の据え置き長期化観測が継続。一方でインフレ鈍化の兆しが同時に示されたことで、市場参加者のスタンスは中立からやや強気へとシフトした印象です。

週末を前にポジション調整が進んだ可能性もあり、仮想通貨市場ではボラティリティが一時的に低下。特段のファンダメンタルズ材料がない中で、テクニカル主導の値動きが中心となりました。

価格とテクニカル動向

ビットコインは前日比 -1.24%108,276ドルで取引を終了。7月3日の上昇から一転し、再び調整の動きが見られました。

テクニカル面では、7日EMA(107,918ドル)と25日SMA(106,311ドル)の両方を上回る水準を維持しており、トレンドそのものは上向きを保っています。ただし、上値の重さと短期的な反落が意識される局面です。

ローソク足は実体の長い陰線を形成しており、高値109,760ドル・安値107,018ドルと上下にやや広いレンジで推移。前日の米市場休場により薄商いの中、ポジション整理主導の値動きが観察されました。

テクニカル的には、短期EMAとの乖離が縮小しつつあり、今後のサポートとして意識される価格帯(107,900〜108,000ドル)での攻防が焦点となります。

終値 7日EMA 25日SMA 日足変化
$108,276 $107,918 $106,311 -1.24%

デリバティブ市場の動き

■ Funding Rate(資金調達率)

2025年7月4日時点の資金調達率は +0.0069% と、前日比でわずかに低下。
7日SMAは +0.0021%、30日SMAは +0.0021% を維持しており、引き続きロング優勢の基調が続いています。

資金調達率はプラス圏を維持しているものの、直近の急伸と価格下落の乖離により、過熱感への警戒も必要な状況です。

■ ロング/ショート清算
  • ロング清算額(7月3日):約 $16.8M
  • ショート清算額(7月3日):約 $35.5M

7月3日は高値圏からの急落により、両サイドで清算が発生。特にショート側の巻き戻しも見られ、ボラティリティの高まりが明確です。

清算規模の増加は、レバレッジ取引の活発化を示唆しており、今後のさらなる急変動には十分な注意が必要です。


■ Open Interest(未決済建玉)

2025年7月4日時点のOpen Interestは $36.37B と、前日比ではやや減少傾向。
7日SMA:$35.49B、30日SMA:$34.71B を依然上回っており、依然として高水準で推移しています。

価格下落に伴い建玉の調整も見られますが、全体としてはロングポジションの巻き戻し圧力が限定的である可能性があります。

オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月3日時点のNRPL(実現損益)は +1.58Bドル
7日EMA(+1.24Bドル)を上回る水準で推移しており、直近では利益確定の動きが活発化しています。
価格上昇局面での利確圧力が強まる一方で、含み益を実現するタイミングを計る動きと解釈され、短期的な調整への備えが意識される局面といえます。

ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月4日の全取引所ネットフローは +1,983 BTCと流入超。
流入超は久々の動きであり、価格が節目付近で伸び悩む中で、一部投資家が利確や売却に動いた可能性があります。
ただし、14日SMA(-3,403 BTC)は依然マイナス圏にあり、中長期的には流出基調が続いている点には留意が必要です。

トランザクション動向

2025年7月4日21:00時点のオンチェーンデータでは、

  • 平均取引額:$83,082
  • 取引件数:193,153件
  • 取引総額:$16.05B

平均取引額が前日から急増し、大口取引の存在感が強まった1日でした。
一方、取引件数はほぼ横ばいで、市場参加者数に大きな変化はないと見られます。
総取引額は高水準を維持しており、強い需要と厚い流動性が確認できます。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $83,082 大口取引の急増
取引件数(件) 193,153 前日横ばい
取引総額(USD) $16,047,573,623 強い流動性維持



マクロと関連市場の動向

7月第1週の伝統金融市場では、週央のFOMC議事要旨発表を前に様子見が広がる中、米長期金利の反発ドル安の継続が確認されました。インフレ鈍化期待が根強く残る中、リスク選好ムードが支配的となり、株式・ビットコイン市場ともに堅調に推移しています。

  • 米10年債利回り: 前日比+1.52%の4.35%へ上昇。14EMA(4.32%)を一時上回る反発を記録。
  • ドルインデックス(DXY): 97.13まで下落継続。21EMA(97.88)・50SMA(99.07)を下回る。
  • 金(XAU/USD): $3,336で小幅反発。50SMA(3,321)上で安定推移。
  • 原油(WTI): $66.47とやや調整。100SMA(65.37)を下支えに横ばい圏。
  • VIX指数: 16.37と低水準維持。警戒感の後退とリスクオン継続を示唆。

米株市場では、S&P500とNASDAQ100が最高値を更新し、AI関連銘柄の主導による上昇基調が続いています。ドル円は144円台でのもみ合いが続き、ビットコインドミナンスも65%台を維持。依然として市場の資金はBTCに集中しています。

指標・市場 終値(7/4時点) 動向・コメント
米10年債利回り(US10Y) 4.35% 14EMA上抜け、短期反発
ドルインデックス(DXY) 97.13 下落トレンド継続
金(XAU/USD) $3,336 50SMA上で安定
原油(WTI) $66.47 やや調整、100SMA上
VIX(恐怖指数) 16.37 低ボラ継続、楽観ムード
S&P500(SPX) 6,279 最高値更新、上昇トレンド
ナスダック100(NDX) 22,867 AI関連株が上昇を主導
ドル円(USD/JPY) 144.50 レンジ内で膠着
ビットコインドミナンス(BTC.D) 65.46% BTC優位継続、資金集中



本日のまとめと展望

ビットコインは前日比-1.24%108,276ドルで取引を終了。短期的な反落が見られた一方で、7日EMA(107,918ドル)と25日SMA(106,311ドル)を上回る水準を維持しており、トレンド自体は依然として上向きをキープしています。

ローソク足は高値109,760ドル・安値107,018ドルと上下に広いレンジを形成しつつ、実体の長い陰線を記録。薄商いの中でポジション調整主導の売りが出たとみられ、テクニカル的には過熱感の解消と短期的な整理局面にあると考えられます。

デリバティブ市場では資金調達率がプラス圏を維持するも、過熱感にはやや警戒感が台頭。清算データからはショートポジションの巻き戻しも見られ、方向感に欠ける攻防が続いています。建玉は引き続き高水準ながら、やや減少傾向にあり、一時的な調整の可能性も。

オンチェーンではNRPLが+1.58Bドルと高水準に達し、利益確定が進む一方で、取引所ネットフローは+1,983 BTCと流入超に転じました。大口投資家の一部利確が進行しつつも、全体としてのフローは依然として流出優位の基調を保っています。

マクロ環境では、米10年債利回りの反発とドル安が並行して進行。VIXは16台で安定し、リスク選好ムードが引き続き支配的です。米市場は7月4日が独立記念日で休場だったため、全体的な取引量は低調でしたが、週明けのFOMC議事要旨公表が意識される状況が続いています。

相場雑感

今回の下落は、イベント通過後の利確と休場による流動性低下が複合的に作用したと考えられます。テクニカル的には、依然として重要な支持線(EMA・SMA)を維持しているため、強い下落トレンド入りとは言い切れない段階です。

デリバティブ市場におけるショート清算の増加は、一部投資家が押し目買いを狙っている可能性を示唆しており、市場は一方向には傾いていない印象です。ポジション整理と新規エントリーが交錯するタイミングと捉えられます。

重要経済指標がない中でのこの値動きは、テクニカルとセンチメント主導の展開であることを物語っています。今後はFOMC議事要旨や次週の米CPIなど、マクロイベントが再び注目を集めることになりそうです。短期的には持ち合いが続きやすい地合いとみられ、柔軟なスタンスが求められます。

今日の注目イベント(07/05 土)

時刻(JST) イベント 注目理由 市場の見方
主要経済指標なし 週末のため新規材料は少なく、週明けのFOMC議事要旨発表が注目 方向感に欠ける展開、テクニカルやセンチメント主導の推移に

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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