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【日次レポート(7/7)】BTCは陰線で反落もサポート維持、NRPL高水準と流入増加に注目

本日の注目ポイント

  • ビットコインは108,800ドル台で横ばい、7日EMAをサポートに一服ムード
  • デリバティブ市場ではロング清算が沈静化、ポジション構築は継続中
  • オンチェーンではNRPLが+1.58Bドルまで上昇、利確傾向が顕著に
  • ネットフローは+1,983BTCと久々の流入超、短期的な売り圧力に警戒感
  • マクロではDXYが続落、株高・BTCドミナンス維持とリスクオン環境が継続

昨日の経済イベントと市場反応

7月6日(日)は、主要な経済指標の発表や中央銀行関係者の発言はなく、市場は材料難の中での静かな推移となりました。
米国市場は週末かつ祝日明けのタイミングにあたり、ビットコインを含むリスク資産も方向感に欠ける展開が見られました。
特段の外部イベントがない中で、テクニカルな売買やポジション調整が中心となる相場だったと言えます。

価格とテクニカル動向

ビットコインは前日比 -0.34%108,859ドルで引け、上昇基調の中で一服する動きが見られました。

テクニカルでは、7日EMA(108,416ドル)と25日SMA(106,365ドル)の両方を依然として上回る水準を維持。上昇トレンドの継続を示唆しています。

ローソク足は小幅な陰線を形成し、高値109,296ドル・安値108,858ドルと比較的狭いレンジでの推移。休場明けの米市場に向け、様子見ムードも強まっています。

足元では、7日EMAとの乖離がやや縮小傾向にあり、今後のサポートとして108,400ドル付近の攻防が意識されそうです。

終値 7日EMA 25日SMA 日足変化
$108,859 $108,416 $106,365 -0.34%

デリバティブ市場の需給動向

① 資金調達率(Funding Rate)


資金調達率は全体的にプラス圏で安定推移しており、ロングポジション優勢の状況が続いています。ただし直近ではやや上昇幅が縮小しており、過熱感はやや後退。強気ポジションの持続性が試される局面に差し掛かっています。

② ロング清算額


ロング清算は一時的に増加しましたが、現在は沈静化傾向。これはポジション調整が一巡したことを示唆しており、急落リスクはやや後退。ただし上値追いの失敗が続くと、再度清算圧力が強まる可能性もあります。

③ ショート清算額


ショート清算は限定的で、ロング優勢なポジションバランスが依然として継続。これは相場全体の上昇バイアスを裏付ける材料である一方で、反落時のショート増加には注意が必要です。

④ オープンインタレスト(建玉残高)


オープンインタレストは高水準を維持しており、投資家のリスク選好姿勢が継続中。方向感の乏しい局面ながらも、ポジション構築は継続的に行われていると考えられ、次のトレンドへの備えが進んでいる様子です。

オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月6日時点のNRPL(実現損益)は +1.58Bドル
7日EMA(+1.24Bドル)を上回る水準で推移しており、直近では利益確定の動きが活発化しています。
価格上昇局面での利確圧力が強まる一方で、含み益を実現するタイミングを計る動きと解釈され、短期的な調整への備えが意識される局面といえます。

ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月6日の全取引所ネットフローは +1,983 BTCと流入超。
流入超は久々の動きであり、価格が節目付近で伸び悩む中で、一部投資家が利確や売却に動いた可能性があります。
ただし、14日SMA(-3,403 BTC)は依然マイナス圏にあり、中長期的には流出基調が続いている点には留意が必要です。

トランザクション動向

2025年7月6日21:00時点のオンチェーンデータでは、

  • 平均取引額:$83,082
  • 取引件数:193,153件
  • 取引総額:$16.05B

平均取引額が前日から急増し、大口取引の存在感が強まった1日でした。
一方、取引件数はほぼ横ばいで、市場参加者数に大きな変化はないと見られます。
総取引額は高水準を維持しており、強い需要と厚い流動性が確認できます。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $83,082 大口取引の急増
取引件数(件) 193,153 前日横ばい
取引総額(USD) $16,047,573,623 強い流動性維持



マクロと関連市場の動向

7月第1週は、米雇用統計の結果を受けた地合いが継続し、全体的に「ドル安・株高・低ボラティリティ」が共存するリスクオン相場となりました。
投資家の関心はインフレ指標へと移行しつつあり、市場は方向感を探る段階にあります。

米10年債利回りは4.33%で推移し、14EMAと拮抗。ドルインデックスは続落し、97を割り込んだ状態が継続しています。
これにより、金は下支え、原油はテクニカルなレンジ内での調整が目立ち、いずれも決定打に欠ける展開となりました。

一方、S&P500やNASDAQ100は揃って最高値を更新し、AI関連銘柄を中心に上昇基調が継続。
為替市場ではドル円が144円前後で膠着するなか、ビットコインドミナンスは65%台で横ばいとなり、資金がBTCへ集中している構図は変わっていません。

全体として、インフレ鈍化→利下げ期待→リスク選好という構図が続いており、短期的には好地合いが支配的。
ただし、今週の経済指標次第では、金利やドルの動きが転換点となる可能性もあり、慎重な姿勢も求められる場面です。

指標・市場 終値(7/6時点) 動向・コメント
米10年債利回り(US10Y) 4.33% 14EMAと拮抗、方向感模索
ドルインデックス(DXY) 96.95 ドル安基調継続
金(XAU/USD) $3,324 50SMA付近で下げ止まり
原油(WTI) $65.73 SMA間レンジで推移
VIX(恐怖指数) 16.37 低位安定、リスクオン継続
S&P500(SPX) 6,279 7EMA・50SMA上、上昇継続
NASDAQ100(NDX) 22,867 最高値圏、強気維持
ドル円(USD/JPY) 144.36 移動平均線に挟まれ方向感模索
ビットコインドミナンス(BTC.D) 65.28% SMA上で横ばい、BTC優位構造継続




本日のまとめと展望

ビットコインは小幅下落となったものの、テクニカル面では依然として短期・中期の移動平均を上回る位置を維持し、上昇トレンド内での一服という印象が強い一日となりました。

デリバティブ市場ではロングの清算圧力が一巡し、OIは高水準を保つなど、方向感に欠けるなかでもポジション構築が継続している様子がうかがえます。

オンチェーン面ではNRPLが+1.5Bドル超と高水準で、利確優勢な動きが強まる一方、取引所への流入超が確認された点はやや警戒要素。調整入りの初動として意識される可能性もあります。

マクロ環境では、DXYの続落やVIXの低位安定などからリスク選好地合いが継続。株式市場の上昇とBTCドミナンスの維持は、中期的な強気相場の持続性を裏付ける材料となっています。

今後の展開としては、108,400ドルのサポートと109,500ドルの上値抵抗の攻防に注目が集まりそうです。今週は材料難が続く見通しですが、木曜の米失業保険申請件数を皮切りに、次のモメンタムが生まれるかを見極める展開となるでしょう。

相場雑感

積極的な買いが入りにくい一方で、利確や様子見も目立つ、「踊り場」のような1日でした。
とはいえ、BTCがこれだけ底堅く推移している背景には、リスクオン継続のマクロ環境と、株式市場の安定があると感じます。
個人投資家としては、「調整は押し目なのか、それとも潮目の変化なのか」を慎重に見極めるフェーズに入ってきた印象です。

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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