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【日次レポート(7/9)】BTCは小幅続伸、需給安定でNRPLも高水準を維持

本日の注目ポイント

  • BTCは+0.03%高で108,962ドル、7日EMAを再び上回りトレンド継続
  • ショート清算が大きく、下値での買い支え意欲が根強い
  • Funding Rateは+0.0072%でロング優勢、OIも高水準で安定推移
  • オンチェーンはNRPL黒字から黒字幅縮小へ、流出超に転換
  • マクロ環境は金利・ドルともに反発基調、相場の下支え要因に

昨日の経済イベントと市場反応

7月8日(火)は、主要な経済指標の発表はなく、全体的に静かな値動きとなりました。
米国市場では連休明けを前に様子見姿勢が強く、株式・暗号資産市場ともに方向感に欠ける展開
ビットコインもテクニカルな節目でのレンジ推移が継続し、出来高も低下傾向にあります。

価格とテクニカル動向

ビットコインは前日比 +0.03%108,962ドルで引け、小幅ながら続伸となりました。

テクニカル面では、7日EMA(108,566ドル)を再び上回り、25日SMA(106,594ドル)との乖離も維持
短期的には方向感に欠ける展開が続く一方で、中期的な上昇トレンドは依然として有効な状況です。

ローソク足は下ヒゲのある陽線を形成し、高値108,980ドル・安値108,803ドルと、値幅の小さいレンジ内での推移にとどまりました。
今後は、7日EMAの維持と出来高の回復が上昇再開の鍵となります。

終値 7日EMA 25日SMA 日足変化
$108,962 $108,566 $106,594 +0.03%

デリバティブ市場の需給動向

① 資金調達率(Funding Rate)

資金調達率は +0.0013% と引き続きプラス圏を維持していますが、7日SMA(+0.0047%)や30日SMA(+0.0026%)を下回る水準で推移しています。
直近の価格上昇に対して、ロングバイアスの勢いはやや鈍化しており、短期的な慎重ムードも感じられる局面です。

② ロング清算額


7月8日のロング清算額は 約467万ドル と、やや増加が見られました。
一部のポジション整理が進む中でも、過熱感のない水準にとどまっており、パニック的な売りではないことが確認できます。

③ ショート清算額


ショート清算額は 約1,478万ドル に達し、上昇局面での踏み上げが継続しています。
この動きは、下値では買い支えが入りやすい環境を示唆しており、ショート側にとってはリスクの高い状況が続いています。

④ オープンインタレスト(建玉残高)

オープンインタレスト(建玉残高)は 約355.8億ドル(≒35.58B)で、引き続き高水準。
7日SMAは 約365.4億ドル(≒36.54B)、30日SMAは 約348.0億ドル(≒34.80B)と、短期平均をやや下回る一方、中期平均は上回っています。
ポジションは静かな構築フェーズにあり、明確なトレンド待ちの状態が続いています。

オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月8日時点のNRPL(実現損益)は $1.64B
7日EMA($1.79B)をわずかに下回っており、利確の勢いはやや落ち着きつつある状況です。
依然として高水準の黒字圏を維持しており、利益確定の動きは続いているものの、ピークは過ぎた可能性があります。

ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月8日のネットフローは -260 BTC と、わずかながら流出超となりました。
14日SMA(-3,861 BTC)と比較しても、短期的な売り圧力は落ち着いている印象です。
中長期では引き続き強気傾向(取引所外への移動)が見られるものの、当日の数値は安定局面に入った可能性を示唆しています。

トランザクション動向

2025年7月8日21:00時点のオンチェーンデータでは、

  • 平均取引額:$52,824
  • 取引件数:171,106
  • 取引総額:$9,038,500,795

前日比で取引件数は増加平均取引額は減少傾向にあるものの、依然として高水準であり、厚い流動性と安定した需要が確認されます。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $52,824 高水準を維持
取引件数(件) 171,106 増加傾向
取引総額(USD) $9,038,500,795 堅調な流動性



マクロと関連市場の動向

7月第2週は米雇用統計を通過し、相場全体が一服感のある値動きとなりました。目立ったサプライズ材料が乏しい中で、金利・為替・株式・コモディティはいずれもテクニカル水準が意識された展開が続いています。

マクロ環境においては、インフレ指標やFRBのスタンスに対する警戒感がやや後退し、投資家のリスク許容度は引き続き高水準を維持しています。一方、指数・資源価格ともに大きなトレンドを形成するには至っておらず、夏枯れ相場に向けた過渡期としての様相を強めています。

来週にはCPI・PPIなどのインフレ関連指標が控えており、今週はその「つなぎ相場」として、方向感の乏しい調整的な動きが続く可能性があります。

指標・市場 終値(7/9時点) 動向・コメント
米10年債利回り(US10Y) 4.407% 短期反発、14EMA(4.348%)上抜け
ドルインデックス(DXY) 97.529 21EMA・50SMAを下回り、戻り売り圧力
金(XAU/USD) $3,306 50SMA($3,321)を下回り、上値重い
原油(WTI) $68.07 25SMA・100SMAを上回り、底堅い動き
VIX(恐怖指数) 16.80 低下傾向継続、リスク選好持続
ドル円(USD/JPY) 146.79 短期MA上抜け、円安進行
S&P500(SPX) 6,225.52 小幅反落も、高値圏維持
NASDAQ100(NDX) 22,702.25 最高値圏で横ばい
BTCドミナンス(BTC.D) 65.09% 50SMA上で安定、BTC優勢



本日のまとめと展望

ビットコインは小幅続伸で108,962ドル。7日EMA・25日SMAともに上回り、中期的には上昇トレンド継続の形を維持。ローソク足は下ヒゲ付きの陽線で、下値では買い支えられた印象です。

デリバティブ市場では、ショート清算額が1,478万ドルと大きく、下落時のロング参入意欲の強さが示唆されます。一方、ロング清算は467万ドルでパニック的売りには至らず。Funding Rate(+0.0072%)はロング優位を維持し、全体的な需給は安定しています。

オンチェーンでは、NRPLが+319Mドルにとどまり、黒字幅が大きく縮小。利確一巡と見られます。また、ネットフローは-10,301 BTCの流出超に転換しており、売り圧力は後退していると考えられます。

マクロ環境では、米金利・ドルが反発基調を強めており、BTCにとっては中立〜やや下押し圧力となり得る状況。とはいえ株式市場は高値圏を維持しており、リスクオン地合いは崩れていないと言えます。

現在の注目は、109,000〜109,500ドルのレジスタンス突破に集中。今後の材料次第で、短期ブレイク or 調整入りの分岐が見込まれます。

相場雑感

値動きは限定的ながらも、清算動向・ネットフローなどの需給データに改善傾向が見られ、上値余地の残る展開
とはいえ、方向感には乏しく、今週後半の経済指標次第で短期のボラティリティ上昇も想定されます。
押し目買い vs 利確売りの綱引きが続く中、マクロ環境とオンチェーン需給が後押しするかに注目です。

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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