本日の注目ポイント(要約)
- BTCは+4.34%高の116,082ドル、大陽線でトレンド強化
- ショート清算額は約3.2億ドルに急増、建玉は年初来最高
- Funding Rateは+0.0101%、ロング優勢も過熱感は限定的
- NRPLは+22.8億ドルで利確圧力強まるも、現物の流出継続
- オンチェーン活動は取引額・件数ともに増加で活発化
- マクロは膠着感、CPI控え様子見ムードが継続
- ドル円は146円台へ円安進行、株・商品は高値圏で調整
昨日の経済イベントと市場反応
7月10日(木)は米新規失業保険申請件数が発表されました。
結果は22.7万件(前週23.3万件 → 修正値23.2万件)とやや減少し、労働市場の底堅さを再確認する内容となりました。
市場の反応は限定的でしたが、FRBによる利下げ観測を強める要素として意識され、ドル売り・米株上昇の地合いを下支えしました。
価格とテクニカル動向
ビットコインは前日比 +4.34% の 116,082ドルで大幅続伸となりました。
テクニカル面では、7日EMA(110,876ドル)と25日SMA(107,104ドル)を大きく上回る水準で引けており、明確な上昇トレンドの継続を示唆しています。
強い陽線を形成しており、短期的には急騰後の押し目形成が意識される局面に入っています。
ローソク足は大陽線となり、高値116,785ドル・安値110,591ドルの広い値幅を記録しました。
今後は、115,000〜117,000ドルのレジスタンス突破後の定着が焦点となります。
終値 | 7日EMA | 25日SMA | 日足変化 |
---|---|---|---|
$116,082 | $110,876 | $107,104 | +4.34% |
デリバティブ市場の需給動向
① 資金調達率(Funding Rate)
資金調達率は +0.0101% と引き続きプラス圏で推移しており、7日SMA(+0.0056%)および30日SMA(+0.0029%)を大きく上回る水準を記録しました。
ロングポジションへの傾きが強まりつつありますが、依然として極端な過熱感は見られず、建玉の増加と価格上昇が連動している状況といえます。
② ロング清算額
ロング清算額は 約860.8万ドルで、前日(7月10日)に比べてやや増加。
ただし水準としては引き続き低めであり、大幅な下落によるロスカットというよりも、ポジション整理や部分的な利確による影響と考えられます。
③ ショート清算額
ショート清算額は 約3億2,673万ドルと前日比で大幅に増加し、5月以来の高水準となっています。
ビットコインが115,000ドルを突破したことによるショートカバーが連鎖し、価格上昇を後押しした可能性が高いと見られます。
④ オープンインタレスト(建玉残高)
オープンインタレストは 約396.9億ドルまで上昇し、年初来で最も高い水準を更新しました。
7日SMA(約369.8億ドル)と30日SMA(約349.3億ドル)を大きく上回っており、新規ポジションの流入が加速している状況です。
建玉増加に加え、価格上昇とショート清算の連動も見られ、今後のボラティリティ拡大リスクには注意が必要です。
オンチェーン分析
NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月9日時点のNRPL(実現損益)は $2.28B。
7日EMA($1.91B)を大きく上回っており、利益確定売りが活発化していることが確認されます。
強い上昇局面に伴う売却が進んでおり、短期的には一部利確による押し目形成も想定されます。
ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月10日のネットフローは -3,934 BTCとなり、14日SMA(-3,488 BTC)を下回る中程度の資金流出超が観測されました。
この動きは依然として強気姿勢が継続取引所からの資金退避が続く限り、現物投資家の強い保有意欲が意識されます。
ただし、マイナーからの流入増加と合わせてみると、短期的には一部調整も視野に入れておく必要があるかもしれません。
トランザクション動向
2025年7月10日21:00時点のオンチェーンデータでは、
- 平均取引額:$68,619
- 取引件数:232,491
- 取引総額:$15,953,322,137
前日と比較して平均取引額・取引総額ともにさらに上昇しており、オンチェーン活動は高水準を維持しています。
取引件数も23万件超と拡大しており、価格上昇局面での参加者増加と市場の流動性向上が顕著です。
項目 | 数値 | 前日比・補足 |
---|---|---|
平均取引額(USD) | $68,619 | 前日比+$15,239(大幅上昇) |
取引件数(件) | 232,491 | +15,744件(取引活動の増加) |
取引総額(USD) | $15,953,322,137 | +$4.38B(3日連続で高水準) |
マクロと関連市場の動向
7月第2週は米雇用統計通過後、全体として材料難による膠着感が漂いました。インフレ懸念はやや後退し、金利や為替、株式・コモディティ市場では主要移動平均線が意識される展開が続いています。
マクロ環境としては、リスク資産への資金流入が継続する一方、指数やコモディティ価格は明確なブレイクアウトに至らず、方向感に乏しい調整相場の様相です。来週のCPI・PPI発表を前に、投資家心理はやや慎重に傾いています。
このため今週は、短期テクニカルレベルの攻防と夏枯れに向けたポジション整理が中心となる見通しです。
指標・市場 | 終値(7/11時点) | 動向・コメント |
---|---|---|
米10年債利回り(US10Y) | 4.336% | 14EMA(4.338%)と拮抗、短期的に反落の兆し |
ドルインデックス(DXY) | 97.345 | 21EMA(97.744)・50SMA(98.907)下、戻り売り優勢 |
金(XAU/USD) | $3,319.03 | 50SMA($3,323)付近で攻防、持ち合い継続 |
原油(WTI) | $68.19 | 25SMA($68.01)・100SMA($65.24)上抜け、トレンド転換示唆 |
VIX(恐怖指数) | 15.95 | 5%超の下落でリスクオン継続、低水準横ばい |
ドル円(USD/JPY) | 146.005 | 25SMA(144.935)・7EMA(145.631)上抜け、円安トレンド再開 |
S&P500(SPX) | 6,280.46 | 7EMA(6,235.87)・50SMA(5,949.24)上、上昇トレンド継続 |
NASDAQ100(NDX) | 22,829.26 | 7EMA(22,710.66)上、やや過熱感も意識される局面 |
BTCドミナンス(BTC.D) | 64.62% | 50SMA(64.79%)を下回り、ETH等への資金流入の兆し |
本日のまとめと展望
ビットコインは前日比+4.34%の116,082ドルで引け、7日EMA(110,876ドル)・25日SMA(107,104ドル)を大きく上回る水準で推移。高値116,785ドル・安値110,591ドルと広い値幅の中で大陽線を形成し、上昇トレンドをより鮮明にしました。
デリバティブ市場では、ショート清算額が約3.2億ドルに急増し、5月以来の水準に。これが上昇トリガーとなった一方で、Funding Rate(+0.0101%)はややロング優勢ながらも過熱感は限定的。建玉残高も年初来最高水準(396.9億ドル)に達し、新規ロング参入が目立ちます。
オンチェーン面では、NRPLが+22.8億ドルと高水準を維持する中、7日EMA超えで利確圧力の強まりが示唆されます。一方で、ネットフローは-3,934BTCと大幅な流出が続き、投資家の保有意欲は依然として旺盛。平均取引額や取引件数も増加し、オンチェーン活動は活発化しています。
マクロ環境では、米新規失業保険申請件数が22.7万件と前週比で減少し、労働市場の底堅さを示す結果に。市場反応は限定的ながらも、ドル売り・株高を後押しする形でクリプト市場にも追い風。その他、米長期金利・ドルインデックス・金価格は主要移動平均線で攻防が継続しており、原油は100SMAを上抜け、底打ちの兆しが浮上しています。
今後は116,000〜117,000ドル台のレジスタンス突破の定着と、出来高の継続がポイント。来週のCPI・PPI発表に向けて、強い押し目買いと利益確定のせめぎ合いが続くと見られます。
相場雑感
テクニカル・デリバティブ・オンチェーンの三方向で強気シグナルが点灯する一方、マクロ環境では方向感の欠如が相場の上値を抑制中。
特にOIの急増と清算動向は、短期筋の動きが強く影響している可能性が高く、一段高となるには出来高とマクロ指標の後押しが必要です。
昨日の失業保険申請件数は堅調な結果となりましたが、反応は限定的で、引き続き来週のCPI・PPIに注目が集まりそうです。
今日の注目イベント(07/11 金)
本日7月11日(金)は、重要な経済指標の発表予定はありません。
週明けに控えるCPI・PPIなどのビッグイベントを前に、様子見姿勢が強まりやすい1日となりそうです。
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