レポート

【週次レポート】雇用統計で利下げ観測に変化、需給と強気姿勢が支えるBTC市場(6/30〜7/6)

今週のポイント

  • BTC価格は108,000ドル近辺での横ばい継続、週末終値は107,924ドル(前週比+0.37%)。狭いレンジ内での推移が続く。
  • 雇用統計(NFP)は予想上振れも失業率は悪化。インフレと景気減速懸念が混在し、利下げ時期は不透明に。
  • オンチェーンでは短期SOPRやNRPLが利確基調を示すも、取引所流出やマイナー売却減が需給を下支え。
  • デリバティブ市場ではCMEロング建玉の増加やCall優勢が継続し、投資家の強気スタンスは維持。
  • VIX低下やNASDAQ上昇がリスク選好を支える一方、BTCドミナンス低下はアルトへの資金流入を示唆。

価格動向(BTC/USD)

項目
始値 $108,226.29
高値 $108,269.87
安値 $108,186.89
終値 $108,187.44
変動率(前日比) -0.04%

2025年7月5日のビットコイン相場は、始値$108,226.29でスタートし、高値$108,269.87、安値$108,186.89と、極めて狭いレンジでの推移となりました。終値は$108,187.44で、前日比-0.04%の微減となっています。

テクニカル面では、ローソク足は7日EMA($108,007.46)25日SMA($106,198.45)をいずれも上回っており、短期的な上昇基調を維持しています。両移動平均線ともに上向きで、全体としては安定した強含みの地合いが続いています。

今後は、108,200〜108,300ドル付近のレジスタンス帯のブレイクが焦点となる一方、下値はまず7日EMA($108,000付近)、次いで25日SMA($106,200付近)が重要なサポートとして意識されるでしょう。

オンチェーン分析

実現損益(NRPL)
  • 2025年7月4日のNRPLは+90.9億ドルと急騰し、過去最高水準に到達。
  • 7日EMA(約32億ドル)を大きく上回り、大規模な利確が発生したことを示しています。
  • この動きは、価格上昇によって含み益が十分に乗っていた短期・長期保有層の利益確定行動が活発化した可能性を示唆します。

短期保有者 SOPR(STH-SOPR)
  • STH-SOPRは1.004とわずかに1を上回り、軽度な利確圧力が継続している状況です。
  • 7日EMA:1.007、30日EMA:1.007と、方向感に欠ける横ばい状態が続いています。
  • 市場全体のモメンタムは強くないものの、下支えは維持されている印象です。

長期保有者 SOPR(LTH-SOPR)
  • LTH-SOPRは24.50と極めて高水準に達しており、長期保有者による大規模な利確が行われたことを示唆しています。
  • EMA(7):7.92、EMA(30):3.66 と比較しても大きく上振れしており、通常よりも極端な実現益が発生しています。
  • 一過性のピークである可能性があるため、翌日の動向にも注意が必要です。

取引所残高・マイナー動向
  • 取引所全体のBTC残高は2,413,828 BTCで、30日SMA(2,454,499 BTC)を明確に下回り、引き続き資金流出トレンドが継続しています。
  • マイナーからの取引所送金量は6,454 BTCで、30日平均(約4,921 BTC)を上回る水準。一時的に売却圧が増加した可能性もあります。
  • とはいえ、依然として取引所残高の減少は需給タイト化と中長期強気傾向を支える要因です。


アクティブアドレス

2025年7月4日時点のアクティブアドレス数は882,086件で、7日EMA(904,596件)・30日EMA(894,622件)をいずれも下回る状態が続いています。
ネットワークアクティビティは相対的に低調であり、新規参加者の流入や取引活発化は限定的。価格上昇とは対照的に、ユーザー参加の勢いは鈍化しています。

② デリバティブ市場と取引環境

  • CME先物の年率ベーシス(6ヶ月超)は 年換算2.57% に上昇。引き続きリスク許容度の高いロングが優勢で、機関投資家の需給は強気地合いを維持しています。
  • 建玉(Open Interest)は $36.2B と高水準を維持。7日SMAを上回る推移が続き、市場は方向感を模索しつつも強含みの印象を与えています。
  • クジラ比率(Whale Ratio)は 0.575 に上昇。7日EMAと30日EMAの乖離も拡大しており、大口主体の急変動リスクには警戒が必要な局面です。



マクロ環境と他資産比較

BTC vs GOLD vs SPX(YTD)
資産 年初来リターン
BTC +28.44%
GOLD +15.33%
SPX +7.34%

2025年の年初来リターンでは、ビットコインが+28.44%と依然として他の資産を大きく上回るパフォーマンスを示しています。ゴールド(+15.33%)は堅調な上昇を続けており、安全資産としての地位を維持。S&P500(+7.34%)も緩やかに上昇していますが、上値の重さが意識されやすい水準に留まっています。

VIX・BTCドミナンス
  • VIX(恐怖指数)は16.37と低水準にあり、市場のリスク警戒感は引き続き限定的。株式市場は安定的な値動きが続いています。
  • BTCドミナンスは65.46%で推移し、50日線(64.69%)と200日線(62.07%)を上回っており、ビットコイン優位の相場環境が継続しています。アルトコインからの資金流出が続き、BTCへの資金集中が強まっています。


今週の経済イベントと市場反応

日付 指標 結果 予想 市場反応
7/1 ISM製造業景気指数 49.0 48.8 市場反応限定的
7/2 ADP雇用者数 -33千人 92千人 雇用鈍化・ドル売り圧力
7/3 非農業部門雇用者数(NFP) 147.0千人 114.0千人 強い雇用、ドル買い
7/3 失業率 4.1% 4.3% ポジティブサプライズ
7/3 平均時給(前年比) 3.7% 3.9% ややディスインフレ傾向
7/3 ISM非製造業景気指数 50.8 50.8 市場影響限定的

マーケットの風向き

今週のビットコイン市場は、雇用統計を中心としたマクロ指標が相場の焦点となる中で、方向感に欠ける膠着状態が続きました。ADPやNFPは強弱まちまちの結果となり、利下げ観測はやや後退。一方、VIXの低下や株高がリスクオンムードを支える形に。オンチェーンでは短期SOPRの上昇やNRPLの好転が利確の進行を示唆しつつも、取引所残高やマイナー売却が減少傾向にあり、需給環境は良好。デリバティブ市場ではCME建玉の増加とロング優勢が続き、上値模索の地合いが継続しています。テクニカル的にも価格はEMA/SMA上を維持しており、次週以降のマクロイベントでトレンド発生の可能性を秘めた展開です。

今後の注目イベント

日付 イベント 注目点
7/09(火) 卸売在庫(前月比) サプライチェーンの変化や企業の在庫調整の動向に注目
7/09(火) 原油在庫・ガソリン在庫・留出油在庫 夏場の需要動向と原油価格への影響に注目
7/10(水) 新規失業保険申請件数 労働市場の堅調さや利下げ判断への影響を探る材料

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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