レポート

【日次レポート(6/28)】BTCはレンジ継続、米株は高値更新でリスクオン継続の地合い

本日の注目ポイント

  • ビットコインは107,000ドル台前半でのレンジ推移が継続し、方向感に欠ける展開
  • デリバティブ市場ではショート清算がやや優勢だが、全体の建玉は伸び悩み
  • オンチェーンでは大口主体の取引が続く一方で、個人参加の勢いに鈍化も見られる
  • 米長期金利とドルインデックスはともに下落、リスク資産には追い風となる環境
  • S&P500およびNASDAQ100は揃って年初来高値を更新し、市場は強気ムードを維持

昨日の経済イベントと市場反応

時刻(JST) 指標 前回 予想 結果 市場反応
21:30 個人所得(前月比) +0.8% +0.2% -0.4% マイナス成長に転じたことで、所得環境の悪化が懸念材料に
21:30 個人支出(前月比) +0.2% +0.2% -0.1% 消費の伸び鈍化が確認され、景気減速への警戒感が強まる
21:30 PCEコアデフレーター(前年比) +2.5% +2.6% +2.7% 予想を上回る結果に市場は反応薄、利下げ期待にはブレーキ
21:30 PCEデフレーター(前年比) +2.1% +2.3% +2.3% 予想通りでサプライズなく、リスク資産にとっては中立
23:00 ミシガン大学 消費者信頼感指数(確報) 60.5 60.5 60.7 微増にとどまるも、センチメント改善の流れは継続

① 価格とテクニカル動向

  • 終値:$107,394.78(前日比 +$321.17 / +0.30%)
  • 高値/安値:$107,540.73 / $106,860.26
  • 値幅:約680ドルの比較的狭いレンジでの推移
移動平均との位置関係
  • 短期EMA(7日): $106,353.95
  • 中期SMA(25日): $105,687.85
  • 現在価格は両移動平均線を明確に上回っており、上昇トレンドが継続中
ローソク足の形状とモメンタム
  • 実体の長さは中程度で上下ヒゲは短く、堅調な値動きを示す陽線
  • 終値が高値圏に位置し、買い圧力が優勢であることが示唆される
  • 7日EMA上を維持しており、短期的な上昇モメンタムは継続している

2. デリバティブ市場の動き

■ Funding Rate(資金調達率)
  • 2025年6月28日時点の資金調達率は +0.00206% とプラス圏を維持。
  • 短期SMA(7日)は -0.00078%、中期SMA(30日)は +0.00169% と、やや中立寄り。
  • マーケット全体では強気バイアスが継続しているが、過熱感は見られない。

■ ロング/ショート清算
  • ロング清算額:$17.93M
  • ショート清算額:$133.71M
  • ショート勢の清算が大幅に上回り、価格上昇局面でのショート巻き戻しが示唆される。
  • 一方、ロングの巻き戻しは限定的であり、ポジションの偏りが続く可能性も。


■ Open Interest(未決済建玉)
  • 未決済建玉は $34.28B に達し、7日SMA($33.80B)、30日SMA($34.66B)と比較して堅調。
  • 価格がレンジ内で推移している中、ポジションは維持されており、参加者の様子見姿勢が表面化。
  • 特にOIが高止まりしている点は、市場におけるボラティリティ上昇のリスクにも注意が必要。

3. オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)

2025年6月27日時点のNRPL(実現損益)は +21.1億ドル($2.11B) に達し、前日と比較して大幅に増加しました。
この水準は過去のピークに匹敵する利益確定圧力の兆候であり、短期的な売り需要が高まっていることを示しています。
一方で、価格自体は107,000ドル台で比較的安定しており、大量の利確が行われても押し下げ圧力が限定的だった点は市場の底堅さを示唆しています。

ネットフロー

2025年6月28日時点のネットフローは -850 BTC と小幅な流出超となりました。
この程度の流出では市場価格に直接的な影響を及ぼす規模ではありませんが、6月中旬の大幅な出金トレンドが一服している点には注目です。
ネットフローの14日SMAは -2,596 BTC と引き続き流出基調を示しており、全体としてはセルフカストディ志向や長期保有マインドが継続している可能性があります。

オンチェーン全体としては、利益確定に伴う売り圧力と、取引所外への資金移動による買い支えの綱引きが続いている構図です。
直近の価格レンジが維持されている間は、短期的な調整があっても、下値は限定的にとどまる展開が予想されます。

4. トランザクション動向

6月28日時点のオンチェーンデータでは、平均取引額が$17,743と比較的高水準を維持し、大口投資家による継続的な関与が示唆されています。一方で、取引件数は25,613件に留まり、依然として個人投資家の参加は限定的な印象です。

これにより、全体の取引総額は$454,443,796と、単価主導での回復が続いていますが、ネットワークの広がりという点では今後の改善が求められます。特に短期的には大口プレイヤーの影響力が増しており、やや偏った市場構造となっている可能性があります。

今後は、個人主導のトランザクション件数の回復や、平均取引額の更なる増加が見られるかどうかが、オンチェーン活動の健全性を見極める上での重要な判断材料となりそうです。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $17,743 高水準を維持、大口主導の傾向継続
取引件数(件) 25,613 小幅減少、個人参加は限定的
取引総額(USD) $454,443,796 前日比で増加、単価主導で支えられる構造



5. マクロと関連市場の動向

米ドル指数(DXY)は97.25まで下落し、3月以来の安値を更新。長期にわたる下落トレンドが継続しており、金利低下とあわせてリスク資産全体への追い風となっています。
恐怖指数(VIX)も16台で安定しており、センチメントは引き続き落ち着いた状態にあります。

原油(WTI)は65ドル台まで軟化し、エネルギー市場の不透明感を反映しています。一方で、金(XAU/USD)は3,274ドルでの横ばい推移を維持し、リスクオフの流れは顕著ではありません。

株式市場は堅調で、S&P500は6,173pt、NASDAQ100は22,534ptと、いずれも上昇基調を継続。AI分野などへの期待感が引き続き株価を支えています。
また、ドル円(USD/JPY)は144.62円と円高気味に推移しており、為替市場ではドル売り圧力が継続しています。

総じて、マクロ環境はリスク選好が継続している一方で、インフレや経済成長を巡る不確実性がくすぶっており、今後の経済指標の結果が相場の方向性を左右する展開が予想されます。

指標 終値 前日比 概要
米ドル指数(DXY) 97.254 -0.093 (-0.10%) 下落継続で3月以来の安値水準
金(XAU/USD) $3,274 -53.65 (-1.61%) 下落も、200日線上で横ばい推移
原油(WTI) $65.03 -0.13 (-0.20%) 急落の反動弱く、戻りは鈍い
恐怖指数(VIX) 16.33 -0.27 (-1.63%) 市場の楽観ムード継続
S&P500(SPX) 6,173.07 +32.05 (+0.52%) 堅調続伸で過去最高値圏
ナスダック100(NDX) 22,534.20 +86.91 (+0.39%) AI関連を中心に上昇継続
米ドル/円(USD/JPY) 144.623円 +0.276 (+0.19%) レンジ内推移、やや円高気味
ビットコインドミナンス(BTC.D) 65.70% -0.05 (-0.08%) BTC主導の地合いが継続




本日のまとめと展望

本日のビットコイン相場は、106,500〜107,500ドルのレンジ内で小動きに終始しました。デリバティブ市場ではショートポジションの清算が断続的に発生しており、下値の固さを確認する形となっていますが、買いの勢いも限定的で、方向感のない状態が継続しています。

オンチェーンの活動を見ると、平均取引額が高水準で推移しており、大口主体の相場が継続しています。ただし、取引件数の伸びは鈍く、個人投資家の勢いにはやや陰りが見られます。

マクロ環境では、米10年債利回りとドルインデックスの下落が続いており、株式市場はこれを好感して高値を更新しています。VIXも低位安定しており、リスク選好ムードは継続。ただし、原油価格の不安定な動きや、今後控える経済指標によっては、リスク環境が転換する可能性も意識されます。

来週に向けては、ビットコインが短期レンジを上抜けできるかが注目されます。明確な上抜けがなければ、ポジション整理による一時的な下振れにも警戒が必要です。

相場雑感

直近のビットコイン相場は「方向感のない強気レンジ」といった印象が強く、強い買い上げもなければ、投げ売りも起きない静かな地合いが続いています。個人的には、オンチェーンでの大口フローが一定の価格維持要因になっていると感じていますが、一方で個人トレーダーの勢いは後退傾向にあり、相場のエネルギーがやや乏しい印象です。

マクロ面では、米国市場が「利下げ期待とリスク選好」という、ある意味では“都合の良いシナリオ”を織り込んでいるため、楽観ムードがやや過熱気味にも見えます。特にVIXの水準は、警戒感の薄さを如実に物語っており、夏場に向けて「何かあれば一気に反転」という展開も頭の片隅には置いておきたい局面です。

今の相場は「上を目指すならもう一段の燃料が必要、下にいくならトリガー待ち」といった印象で、短期的には出来高や清算動向など、ミクロな指標にも注視したいところです。

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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