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【日次レポート(7/2)】BTC反落で調整色が強まる中、需給タイトで今夜のISM製造業指数に注目

本日の注目ポイント

  • BTCは105,000ドル台に反落し、25日SMA割れ・7日EMA下抜けでテクニカルに警戒感
  • 資金調達率はプラス幅が縮小しつつもロング優勢を維持、過熱感は後退
  • ロング清算が増加する一方でショート清算は低水準、下落局面でロング巻き戻し
  • 建玉は高水準維持も微減、方向感を模索する様子
  • 米10年債利回りとドル指数が低下、VIXは引き続き低水準でリスク選好は継続

⑥ 昨日の経済イベントと市場反応

7月1日(火)に発表されたISM製造業景気指数は、予想48.8に対し結果は49.0と上振れし、前回の48.5からも改善しました。景気後退懸念がやや後退したことで、米株は小幅高、ドルは堅調に推移。一方で、ビットコインにとってはインフレ圧力や利下げ観測の後退につながる可能性もあり、やや上値を抑える材料となりました。

また、同日発表のADP雇用者数は予想92万人に対し非公表(または未発表)のため、市場の反応は限定的となっています。

① 価格とテクニカル動向

ビットコインは前日比-1.54%となる105,523ドルで取引を終了。週明け高値の107,561ドルから反落し、短期的に調整色が強まっています。

テクニカル面では、7日EMA(106,581ドル)および25日SMA(106,102ドル)を下回る形となっており、上昇トレンドに対してやや警戒感が出始めています。特に終値が両移動平均線を割り込んだことは、今後の値動きに影響を及ぼす可能性があります。

ローソク足の形状は上ヒゲを伴う陰線で、高値107,561ドルから安値105,288ドルまで売られる展開となり、売り圧力の強さが示されました。今後は105,000ドル付近の下値支持と、106,500〜107,000ドルのレジスタンスが意識されそうです。

今週はADP雇用統計やNFP(米雇用統計)など重要イベントが控えており、テクニカル的な節目を交えたボラティリティの高まりには引き続き注意が必要です。

終値 7日EMA 25日SMA 日足変化
$105,523 $106,581 $106,102 -1.54%

2. デリバティブ市場の動き

■ Funding Rate(資金調達率)

2025年7月1日時点の資金調達率は +0.0067% と、前日(6月30日)の +0.0053% からやや上昇。引き続きロングポジションへのインセンティブが働く水準にあります。SMA(7日)は +0.00150%、SMA(30日)は +0.00193% と、いずれもプラス圏を維持しており、強気の需給構図が続いています。

価格下落に対しても資金調達率がポジティブを維持している点は、市場が依然として上昇再開に期待を寄せていることを示唆しています。

■ ロング/ショート清算
  • ロング清算額(7月1日):約 $21.8M
  • ショート清算額(7月1日):約 $27.9M

7月1日のデータでは、ショート側の清算額がロングを上回り、下落局面でも売りポジションの巻き戻しが起こっていたことが示されます。価格調整にもかかわらずショートの清算がやや優勢となっていることから、一時的な買い戻しが入った可能性があります。

なお、両者ともに直近の水準から増加しており、ポジション偏りが高まる局面での警戒感も意識されつつあります。


■ Open Interest(未決済建玉)

2025年7月1日時点の未決済建玉(Open Interest)は $33.40B。前日の $34.15B から続落しており、価格下落に伴いポジション整理が進んだと考えられます。SMA(7日)は $34.33B、SMA(30日)は $34.50B と比較すると、下振れが明確になってきています。

建玉の減少は、レバレッジポジションの縮小を示唆しており、しばらくは調整局面が続く可能性も。次のトレンド方向を見極めようとする市場の静観姿勢が伺えます。

3. オンチェーン分析

NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年6月30日時点のNRPL(実現損益)は +2.39Bドル と急増し、7日EMA(+1.34Bドル)を大きく上回りました。これは2025年4月以来の高水準となっており、利確圧力が一気に高まったことを示します。価格上昇局面で一部参加者が利益を確定した動きが反映されたと考えられますが、ボラティリティ拡大を誘発する可能性もあります。

ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月1日の全取引所合算ネットフローは +2,721 BTC と、6月中続いていた流出基調から一転して流入超過に。14日SMAは -2,684 BTC のマイナス圏を維持しており、依然として中長期の流出基調は続いているものの、足元では利確や取引準備の動きが出始めた兆しとも捉えられます。

④ トランザクション動向

2025年7月1日21:00時点におけるオンチェーンデータでは、

  • 平均取引額:$44,957
  • 取引件数:192,823件
  • 取引総額:$8.67B

直近では、平均取引額が大幅に減少しており、大口主体の動きが一服している可能性があります。一方で取引件数は前日比で増加しており、個人投資家による小口取引の活発化が見られます。全体の取引総額も8.6Bドル超と高水準を維持しており、流動性は引き続き良好な状態です。

項目 数値 前日比・補足
平均取引額(USD) $44,957 大口取引は一服、小口主体の展開に
取引件数(件) 192,823 増加傾向、個人参加が拡大
取引総額(USD) $8,668,738,493 高水準の流動性維持



⑤ マクロと関連市場の動向

6月末から7月初旬にかけての伝統金融市場では、インフレ指標の鈍化や利下げ期待が台頭する一方、中東や中国関連の地政学リスクも意識され、リスクオンと警戒感が交錯する相場環境が続いています。

  • 米10年債利回り: 前日比で反発し 4.24%へ上昇。短期的には売られすぎの反動と見られるが、利下げ観測はなお根強い。
  • ドルインデックス(DXY): 96.65まで下落。21EMA(98.17)や50SMA(99.22)を下回り、ドル安トレンドが継続。
  • 金(XAU/USD): $3,340付近まで上昇。50SMA($3,221)を支えに反発し、安全資産としての需要が根強い。
  • 原油(WTI): $65.40で横ばい。25SMA(66.64)や100SMA(65.44)と拮抗しており、方向感に欠ける推移。
  • VIX指数: 16.84と低水準。地政学リスクがくすぶる中でも、株式市場の安定が継続。

米株市場では、S&P500やNASDAQ100が7日EMAを維持しつつ堅調推移。特にAI関連や大型テックの好決算期待が指数を押し上げており、リスク選好は継続中です。

指標・市場 終値(7/1時点) 動向・コメント
米10年債利回り(US10Y) 4.24% 売られすぎ反動で上昇、依然低水準
ドルインデックス(DXY) 96.65 下落トレンド継続、ドル売り優勢
金(XAU/USD) $3,340 安全資産需要で反発
原油(WTI) $65.40 テクニカル節目付近で横ばい
VIX(恐怖指数) 16.84 安心感広がるも、過度な楽観には注意
S&P500(SPX) 6,198 史上最高値圏で堅調
ナスダック100(NDX) 22,478 調整含みつつも強気基調継続
ドル円(USD/JPY) 143.42 円高方向へ調整、144円割れ
ビットコインドミナンス(BTC.D) 65.51% アルト売り優勢、BTCに資金集中





本日のまとめと展望

ビットコインは前日比-1.54%の105,523ドルで引け、7日EMA(106,581ドル)と25日SMA(106,102ドル)を下回る形で反落。長い上ヒゲの陰線を形成し、短期的な上昇モメンタムの鈍化が示されています。

デリバティブ市場では、資金調達率がプラス圏を維持しつつも縮小傾向にあり、ロング清算の急増が巻き戻しの進行を示唆。ショート清算は限定的で、ロング偏重の調整が色濃く表れています。

建玉は微減ながら高水準を維持しており、方向感を探るポジション構築が続く様子。急激なリスクオフではなく、静かな調整フェーズと見ることもできます。

オンチェーンでは、NRPLが横ばい圏で高水準を保ち、含み益ホルダーの利確が一定継続。ネットフローは流出超過が続き、取引所外への資金移動が優勢。トランザクションも落ち着きが見られ、フローの勢いは限定的です。

マクロでは米金利とドル指数がともに軟化。VIXは13付近で安定し、米株も堅調推移。外部環境はリスク選好ムードを維持しており、仮想通貨市場の下支えとなる一方で、今夜のISM製造業指数など重要指標の影響には要注意です。

相場雑感

今回の反落はイベント前の調整とも捉えられ、テクニカル的には上昇一服の警戒感が出ています。EMA・SMAを下回ったことで、より慎重な見方が増える可能性もあります。

ロング清算の急増と建玉の高水準維持からは、短期勢の整理とエネルギー蓄積の両面が見られます。ネットフローやNRPLは、大口の長期保有継続を示唆しており、急落よりも持ち合い・調整のフェーズと捉えるのが妥当です。

今夜のISM製造業指数次第では、金利やドルが変動し、BTC価格にも波及の可能性あり。方向感に乏しい相場では、データを冷静に見極めた柔軟な対応が求められます

⑦ 今日の注目イベント(07/02 水)

時刻(JST) イベント 注目理由 市場の見方
21:15 ADP雇用者数(前月比) 非農業部門の雇用動向を示す先行指標で、金曜の雇用統計の先読み材料 予想92万人。大きく上振れすれば利下げ観測が後退し、リスク資産には逆風
23:30 米エネルギー在庫(原油・ガソリン・留出油) 需給バランスの確認に用いられ、インフレ動向にも影響 在庫減なら原油価格上昇→インフレ警戒→ドル高→BTC下押し圧力となる可能性

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※本レポートに掲載しているデータは、CryptoQuantTradingView、米政府統計機関等の公開データをもとに作成しています。

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