本日の注目ポイント(7月3日)
- BTCは105,000ドル台に反落し、25日SMA割れ・7日EMA下抜けでテクニカルに警戒感
- 資金調達率はプラス幅が縮小しつつもロング優勢を維持、過熱感は後退
- ロング清算が増加する一方でショート清算は低水準、下落局面でロング巻き戻し
- 建玉は高水準維持も微減、方向感を模索する様子
- 米10年債利回りとドル指数が低下、VIXは引き続き低水準でリスク選好は継続
⑥ 昨日の経済イベントと市場反応
7月2日(水)に発表されたADP雇用者数(前月比)は、予想92万人に対し-3.3万人と大きく下振れしました。労働市場の冷え込みを示す結果となり、利下げ観測が再燃。これを受けて米金利とドルは軟化し、株式市場は堅調、ビットコインにも支援材料となった可能性があります。
また、同時刻に発表されたエネルギー関連在庫では、原油在庫が-384.5万バレル、ガソリンが-418.8万バレルと大幅な取り崩し。需給タイト化の動きはインフレ警戒感を誘う一方で、市場の反応は限定的でした。
① 価格とテクニカル動向
ビットコインは前日比+3.14%となる109,033ドルで取引を終了。105,000ドル台から大きく反発し、心理的節目の109,000ドルを回復しました。
テクニカル面では、7日EMA(107,229ドル)と25日SMA(106,246ドル)をともに上抜けており、短期的な上昇トレンドが再点灯した形です。価格は両移動平均線を明確に上回っており、センチメントの回復を示唆します。
ローソク足は長めの陽線を形成し、高値109,739ドル・安値105,143ドルと上下に大きく動く展開。値幅も広く、出来高伴う上昇により押し目買いの勢いが意識されました。
本日夜にはNFP(非農業部門雇用者数)など重要経済指標の発表が控えており、イベントを前にポジション調整と短期ボラティリティ拡大に要警戒です。
終値 | 7日EMA | 25日SMA | 日足変化 |
---|---|---|---|
$109,033 | $107,229 | $106,246 | +3.14% |
② デリバティブ市場の動き
■ Funding Rate(資金調達率)
2025年7月2日時点の資金調達率は +0.0059% と、前日比でやや縮小。
7日SMAは +0.0021%、30日SMAは +0.0019% を維持しており、強気地合いは継続しています。
価格が調整局面に入る中でもプラス圏を維持していることから、市場はなおロング優勢の構図を保ちつつ、慎重に推移している様子がうかがえます。
■ ロング/ショート清算
- ロング清算額(7月1日):約 $64.6M
- ショート清算額(7月1日):約 $7.2M
7月1日は価格下落に伴いロング清算が急増し、短期の巻き戻しが進行。一方でショート清算は限定的で、売り方の勢いが強かったことがうかがえます。
この急増は、短期トレーダーのポジション整理が進んだことを示唆し、次の方向感を探る流れの中で、ポジション構築の再編が意識される局面となっています。
■ Open Interest(未決済建玉)
2025年7月2日時点のOpen Interestは $37.38B まで増加。前日比で大幅に増加し、再びロングサイドに建玉が積み上がる兆しが出ています。
SMA(7日):$34.66B、SMA(30日):$34.57B を明確に上回っており、直近のポジション増加が顕著です。
価格が反発する中で建玉が大きく増えたことで、再びロング勢の攻勢が強まりつつある可能性があり、次の展開では過熱感の有無が注視されます。
3. オンチェーン分析
NRPL(Net Realized Profit and Loss)
2025年7月1日時点のNRPL(実現損益)は +699Mドル と再び大きく増加し、7日EMA(+1.18Bドル)には届かないものの、高水準を維持しています。前日には2Bドル超の利確が観測されており、短期的な利益確定が続いている様子です。市場参加者の一部は上昇局面で利確に動いている可能性があります。
ネットフロー(取引所流入出)
2025年7月2日の全取引所合算ネットフローは -4,347 BTC。6月中の一時的な流入から再び流出超過へと転じ、14日SMA(-2,929 BTC)も引き続きマイナス圏で推移しています。これは中長期保有目的での引き出しが続いていることを示唆しており、現物市場の強気姿勢を支える材料といえます。
④ トランザクション動向
2025年7月2日21:00時点におけるオンチェーンデータでは、
- 平均取引額:$60,328
- 取引件数:197,343件
- 取引総額:$11.91B
前日比で平均取引額が急増しており、大口主体の取引が再活性化している可能性があります。さらに、取引件数も増加傾向にあり、個人・機関を問わず市場参加が活発化している兆しです。総取引額も10Bドル超えと高水準で、流動性の厚さを裏付けています。
項目 | 数値 | 前日比・補足 |
---|---|---|
平均取引額(USD) | $60,328 | 大口取引の再活性化 |
取引件数(件) | 197,343 | 増加傾向、参加者拡大 |
取引総額(USD) | $11,905,312,010 | 高水準の流動性 |
⑤ マクロと関連市場の動向
7月入り直後の伝統金融市場では、FOMC議事要旨の発表を控えて様子見ムードが広がる一方、米利回りの反発やドル安継続が意識される展開に。インフレ鎮静化期待は維持されつつも、原油や金価格の変動、地政学的リスクも影響し、相場の方向感は交錯しています。
- 米10年債利回り: 前日比+0.97%の4.28%へと大幅反発。テクニカル的には14EMA(4.31%)がレジスタンスに。
- ドルインデックス(DXY): 96.77まで反発も、依然として50SMA(99.16)や21EMA(98.05)を大きく下回る。
- 金(XAU/USD): $3,351で小幅下落。50SMA上では推移し、安全資産としての需要は健在。
- 原油(WTI): $67.22で横ばい推移。短期的には25SMA(66.98)・100SMA(65.42)と拮抗し、方向感乏しい。
- VIX指数: 16.63と低水準継続。ボラティリティ低下で株高を支えるも、過度な楽観への警戒も必要。
株式市場は堅調を維持しており、S&P500やNASDAQ100は史上最高値圏で推移。AI・テック関連株への買いが継続し、指数を支える構図です。ビットコインドミナンスも高水準で推移し、アルトからBTCへの資金集中が続いています。
指標・市場 | 終値(7/2時点) | 動向・コメント |
---|---|---|
米10年債利回り(US10Y) | 4.28% | 短期反発も利下げ観測根強く |
ドルインデックス(DXY) | 96.77 | 反発も下降トレンド継続 |
金(XAU/USD) | $3,351 | 50SMAを支えに推移、安定的 |
原油(WTI) | $67.22 | もみ合い継続、材料待ち |
VIX(恐怖指数) | 16.63 | 安心感あるも反発警戒も |
S&P500(SPX) | 6,227 | 上昇基調継続、最高値圏 |
ナスダック100(NDX) | 22,641 | 好調なテック株がけん引 |
ドル円(USD/JPY) | 143.56 | 円高方向へ調整続く |
ビットコインドミナンス(BTC.D) | 65.25% | アルト売り続きBTC優勢 |
本日のまとめと展望
ビットコインは前日比-1.54%の105,523ドルで引け、7日EMA(106,581ドル)と25日SMA(106,102ドル)を下回る形で反落。長い上ヒゲの陰線を形成し、短期的な上昇モメンタムの鈍化が示されています。
デリバティブ市場では、資金調達率がプラス圏を維持しつつも縮小傾向にあり、ロング清算の急増が巻き戻しの進行を示唆。ショート清算は限定的で、ロング偏重の調整が色濃く表れています。
建玉は微減ながら高水準を維持しており、方向感を探るポジション構築が続く様子。急激なリスクオフではなく、静かな調整フェーズと見ることもできます。
オンチェーンでは、NRPLが高水準を維持し、含み益ホルダーの利確が一定継続。ネットフローは流出超過が続き、取引所外への資金移動が優勢。トランザクションもやや落ち着きを見せ、フローの勢いは限定的です。
マクロでは米金利とドル指数がともに軟化。VIXは13付近で安定し、米株も堅調推移。外部環境はリスク選好ムードを維持しており、仮想通貨市場の下支えとなる一方で、今夜のISM製造業指数など重要指標の影響には要注意です。
相場雑感
今回の反落はイベント前の調整とも捉えられ、テクニカル的には上昇一服の警戒感が出ています。EMA・SMAを下回ったことで、より慎重な見方が増える可能性もあります。
ロング清算の急増と建玉の高水準維持からは、短期勢の整理とエネルギー蓄積の両面が見られます。ネットフローやNRPLは、大口の長期保有継続を示唆しており、急落よりも持ち合い・調整のフェーズと捉えるのが妥当です。
今夜のISM製造業指数次第では、金利やドルが変動し、BTC価格にも波及の可能性あり。方向感に乏しい相場では、データを冷静に見極めた柔軟な対応が求められます。
⑦ 今日の注目イベント(07/03 木)
時刻(JST) | イベント | 注目理由 | 市場の見方 |
---|---|---|---|
21:30 | 非農業部門雇用者数(NFP) | 米雇用統計の中心指標で、金利政策や市場の方向感に強く影響 | 予想114.0万人。上振れならリスク資産に逆風、下振れならBTCには追い風 |
21:30 | 平均時給(前月比・前年比) | 賃金インフレの進行状況を測る重要指標 | 予想は+0.3%(前月比)。強い結果ならインフレ懸念再燃の可能性 |
21:30 | 失業率 | 労働市場の全体的な健全性を評価する代表指標 | 予想4.30%。上昇すれば景気減速シグナル、BTCにプラスに働く可能性 |
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